企業年金に対する特別法人税、凍結延長へ

政府税制調査会は30日、各省庁の2011年度税制改正要望のうち、法人税率下げなど「大玉」以外の項目についての1次査定結果を公表した。原案で「認めない」としていた企業年金の積立金に対する特別法人税の課税凍結措置では3年間の延長を容認。
(日本経済新聞2010年12月1日5面)

【CFOならこう読む】

「企業年金の年金積立金に対し、法人税法上課税される税金。
企業年金制度では掛金を拠出した時点で各従業員の年金支給額が確定していないため、実際の給付時まで課税を繰り延べることとされている。
その遅延利息に相当するものとして、年金積立金に対して特別法人税が課税される。
厚生年金基金の場合は、国の厚生年金を代行していることから、代行部分の3.23倍に相当する額までの積立金は非課税とされ、それを超える部分に1.173%の特別法人税が課税される。
確定給付企業年金、確定拠出年金の場合は、積立金の全額に、一律1.173%の特別法人税が課税される。なお、平成22年度末までは、特別法人税の課税は凍結されている。」
「特別法人税」企業年金連合会 用語集

長期国債の利回りが1.2%を切る現状において、こんなものを復活させれば年金制度の存亡に関わります。

本来このような税制は廃止すべきですが、企業年金というと大企業のものというイメージがあるため、政府としては廃止までは踏み込めないのでしょう。

この制度の趣旨は、企業が従業員のために年金に損金として拠出した段階で、従業員側で課税が生じ得るわけですが、従業員側の課税は給付時まで繰り延べられるので、課税繰延に対する遅延利息を徴収するということにあります。

税率1.173%の計算根拠は、利子税率年利7%(端数切り捨て)が前提となっており、1974年から変更になっていません。
「公平性・中立性の観点に立った年金税制のあり方」谷内 陽一 [PDF]

ゼロ金利の時代に7%もの利子税を取ることを前提とする制度が成立するわけがありません。凍結ではなく、制度自体撤廃すべきです。

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