ハワード・ストリンガー氏と中鉢氏

ハワード・ストリンガーはいらだっていた。2005年にソニーの会長兼CEOになり、「ソニー・ユナイテッド(連帯)」を掲げて改革に取り組んだが、テレビ事業の収益改善はいっこうに進まない。
(日本経済新聞2012年10月3日3面ソニー再起)

【CFOならこう読む】

「ボタンの掛け違いは最初からだ。会長兼CEOといえば欧米では会社の全権限を握り、事実上は役員の指名権も持つ。しかしソニーの取締役会はストリンガーを指名したとき、中鉢を社長にすると決めていた。中鉢は「エレクトロニクス事業の詳細をストリンガーに話す必要はない」と思っていた節がある。米国で3年働いた中鉢は英語が話せないわけではないが、積極的に報告を上げることはしなかった」(前掲紙)

古い話で恐縮ですが、文藝春秋2007年2月号に、中鉢氏と評論家の立花隆の対談が「ソニー神話を壊したのは誰だ」というタイトルで掲載されています。

その中の「EVAが総ての元凶」と言う項で、中鉢氏は、大賀社長時代に導入した社内カンパニー制と、出井CEOが導入したEVA経営の弊害がソニーの業績を圧迫しているとして、経営改革について語っています。EVAの導入が研究開発投資の削減を促したと言うのがその理由です。

これを読んで、私はこの人は経営指標の読み方も知らず、社長としての適正を著しく欠いている、と感じたのを覚えています。

今日のエントリーの新聞記事を読んで、中鉢氏の関心は、経営にはなく権力闘争にあったのだと妙に納得しました。このようなわけのわからない人事を決定した取締役会の罪も大きい。

【リンク】

なし