ベンチャー投融資1,240億円

昨年12月、千葉県木更津市の空き地で1台の自動車が静かに動き出した。外見はトヨタ自動車のプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」。だが運転手はハンドルに触っていない。アクセルとブレーキも勝手に動き障害物を巧みによける。
 正体はセンサーで周囲の様子をつかみコンピューター制御で自動走行する「ロボカー」だ。開発を率いる谷口恒(48)は2001年にIT(情報技術)とロボット技術を手がけるゼットエムピー(ZMP、東京・文京)を設立した。
(日本経済新聞2013年5月8日2ページ)

【CFOならこう読む】

「06年のライブドア事件と前後していったん冷めた日本の起業熱。だがITが進化したうえ、人材や資金、アイデアさえネットで集められるようになり、起業のハードルは劇的に下がった。新産業を生もうという野心的な試みは日本でも盛り上がりつつある。」(前掲紙)

起業熱が高まっている一つの理由は、リストラされた人の再就職がままならないことにあるように思います。

「日本での会社設立登記は09年の8万6000件を底に12年は9万2000件にまで増えた。12年3月期の国内ベンチャー投融資額も1240億円と前期比約1割増と上向きだ。再び訪れたベンチャーブーム。アイデアを形にしようと挑む起業家たちを追う。」(前掲紙)

起業がしやすい環境整備が重要であることは間違いありませんが、それとは別の次元の問題としてベンチャー企業を巡る環境整備が重要です(両者は全く異なる次元の問題です)。

以前にも書きましたが、1240億円と言っても米国の2011年の投融資額(2兆2890億円)と比べると大きく見劣りする水準です。
アーリーステージでのベンチャー投資は、10倍~20倍のリターンを見込む超ハイリスクハイリターンの世界です。それだけにプロのベンチャーキャピタリストでなければ安易に足を踏み入れることはできません。しかし日本ではこの分野のプロフェッショナルが質量ともに圧倒的に不足しています。

この分野でも今後外資のPEファンドの存在感が増して行くように思います。

【リンク】

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