国際会計基準、新リース会計基準導入の場合、欧米企業などのDEレシオ上昇

国際会計基準で議論されている新リース会計が導入された場合、リースを用いる機会の多い欧米企業などのDEレシオが平均で約13%上昇する可能性があることが分かった。米大手会計事務所PwCなどが調べた。費用のみの計上で済んでいたオペレーティングリース取引が貸借対照表に計上されれば、リース債務を含めた有利子負債が膨らむ。
(日本経済新聞社2009年11月11日19面)

【CFOならこう読む】

「新リース会計基準について、国際会計基準審議会(IASB)などは現行制度で貸借対照表に計上せずにすむオペレーティングリースを含めたすべてのリース取引を資産・負債計上する方向で議論している。」(前掲紙)

国際会計基準では、

「ファイナンス・リースとは、資産の所有に伴うリスク及び経済価値を実質的にすべて借手に移転するリースをいい、オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいう」(IAS17.4)

とされています。

日本基準では、

「「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することになるリース取引をいう」(企業会計基準第13号)

としたうえで次のような数値基準を設けています。

(1)又は(2)のいずれかに該当する場合には、ファイナンス取引と判定される。(適用指針第16号)

(1) 現在価値基準
解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額の概ね90%以上であること。

(2) 経済的耐用年数基準
解約不能リース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であること。

国際会計基準では、このような数値基準は設けられていません。

いずれにしても国際会計基準でも日本基準でも、オペレーティング・リース取引をリース資産、リース負債として計上することはないのですが、国際会計基準は「オペレーティングリースを含めたすべてのリース取引を資産・負債計上する方向で議論している」のです。

いつでも返せるものも自社の資産・負債として計上するというのは、理論的ではありませんが、資産を購入している会社、ファイナンスリースで手当てしている会社等様々な会社との比較可能性を重視する、ということなのだと思います。

オペレーティング・リースまで含めて資産・負債に計上すれば当然DEレシオは上昇するわけで、

「リース債務を含む有利子負債について、25%以上増加する企業数は全体の24%に達するとしている」(前掲紙)

【リンク】

なし