小売業におけるM&Aの意義とは

コンビニエンスストアのファミリーマートとその筆頭株主である伊藤忠商事は共同で、7位のam/pmを買収する方向で最終調整に入った。am/pmの親会社であるレックス・ホールディングスから全株式を買い取る。買収額は100億円前後とみられる。実現すれば店舗数は2位ローソンに迫り、首位セブン-イレブン・ジャパンの追撃体制も整う。消費不振でコンビニにも飽和感が強まるなか、再び業界再編が動き出した。
(日本経済新聞社2009年11月12日1面)

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記事には、”消費不振、再編促す”、”価格競争へ規模追求”という見出しが踊っています。製造業の場合、需要と供給のアンマッチを企業再編により固定費率の引き下げという形で解消することが可能なのに対し、小売業の場合にはその効果が具体的な形では見えづらいと言えます。

「少子高齢化や消費不振が進むなか、スーパーなど小売り各社割安なPBの投入に力を入れるなど、価格競争が一段と激しい。商品開発や共同仕入れなどで足並みがそろえば、同業だけでなく、メーカーに対しても大きな圧力になりそうだ。」(前掲紙 13面)

メーカーに対する圧力、と言うとき多くの人が頭に思い浮かべているのはウォルマートやテスコでしょう。
そしてウォルマートのような圧倒的規模を目指して拡大路線に邁進してきた代表選手がイオンでしょう。
そのイオンがいま苦しんでいます。

今週号の日経ビジネスにイオン・岡田元也の「手塩にかけた大型モールを否定」という記事が掲載されています。

「製造にまで入って粗利を極大化するSPA(製造小売り)と経費率を極限まで抑え込んで利益を搾り出すディスカウント系のスーパー。流通の仕組みを変えようとインフラに投資し、規模を拡大してきたイオンだが、結果として中途半端な存在になってしまった。

もちろん物流などインフラへの投資はこれから生きるという見方もある。規模が拡大したといっても、日本の大手小売業の市場占有率は欧米企業に比べてはるかに低い。欧米並みのシェアに引き上げれば、岡田が模索してきた流通の仕組みを変える仕掛けが大きな意味を持つ可能性はある。

しかし、規模拡大で増え続けたグループ企業は既に180社を超える。収益低下の著しいイオンにさらなる規模拡大の余裕はない。岡田は、理想とする流通業の姿を追う前に、現状を正す必要に迫られている。」(日経ビジネス 2009.11.9 110頁)

中途半端な規模拡大は命取りになりかねません。

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