グループ法人税制整備

政府税制調査会は30日、2010年度税制改正に向けた各省庁の要望の1次査定案をまとめ、企業グループに対する法人税制見直しなど国税で約30項目を新たに認めた。地方税でも、新築住宅の固定資産税軽減を認めた。ただ企業の研究開発減税などは見直しが必要と判断。税調は8日にも改正案の骨格を示し、来週中に税制改正大綱を策定する方針だ。
(日本経済新聞2009年12月01日3面)

【CFOならこう読む】

「税調は条件付きでグループ企業の法人税制の見直しを認めた。現在、連結納税していない企業グループの親会社が100%子会社から配当を受け取ると、一部を税務上の収益である「益金」に算入する必要があり、課税の対象となる」(前掲紙)

これは、「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会 」[PDF]の以下の部分に対応します。

「グループ内の資本関連取引
② 受取配当の益金不算入制度における負債利子控除 (グループ法人単体課税制度の対象となる法人について)
現在、連結納税制度における受取配当の益金不算入制度については、負債利子控除が不要とされているが、グループ法人単体課税制度においても、グループ子法人からの受取配当に係る負債利子控除については、グループ内の資金調達に対する中立性を確保する観点や、100%支配関係にある子法人からの配当は間接的に行われる事業からの資金移転と考えられることなどから、これを不要とすることが考えられる」

「またグループ内企業間の取引にも多くの税金がかかる」(前掲紙)

については以下が対応します。

「グループ法人間の譲渡取引
① グループ法人間で資産の譲渡取引が行われた場合に生ずる損益については、その資産のグループ外取引等の時点までその計上を繰り延べることが考えられる。(グループ法人単体課税制度の対象となる法人について)
具体的には、連結納税制度においては既に連結法人間取引の損益調整制度が事務負担も考慮して定められていることから、グループ法人単体課税制度においても、これと同様の仕組みとすることが考えられる。
(参考)連結納税制度における譲渡損益調整資産の範囲は、固定資産、土地、有価証券金銭債権及び繰延資産(売買目的有価証券、帳簿価額1,000万円に満たない資産を除く)とされている。
② さらに、上記①のとおり、グループ法人間の譲渡取引が課税繰延べとなるのであれば、グループ法人税制共通の取扱いとして
イ グループ内の非適格合併も課税繰延べとする(グループ内の非適格株式交換等の場合も完全子法人の資産に対する時価評価課税を行わない)ことが考えられる。
ロ 適格事後設立を存置する必要はなく、廃止することが考えられる。」

しかし「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会 」で新たに導入が検討されている「グループ法人税制」は、中小企業優遇措置ではなく、すべての企業が対象となることが前提になっています。

この議論を歪曲し、規模等の制限をつけるのは間違っていると僕は思います。

【リンク】

2009年7月「資本に関係する取引等に係る税制についての論点」財務省〔PDF〕