手元現金の価値 – バフェットの手紙より

危機のさなかの2008年・2009年に360億ドルの株投資。今年に入っても鉄道大手を買収ー。荒れる市場にも立ちすくまず、バフェット氏は果敢に投資してきた。「手紙」には、その背景・米経済の見通し・財務戦略などがつづられている。ROEや負債をもとに「日本版バフェット銘柄」を探りつつ、投資に生かそう。
(日経ヴェリタス2010年3月7日2面)

【CFOならこう読む】

「見知らぬ人の好意に頼ることはしません。緊急事態の時にバークシャーでは、Too Big To Failを盾に、身を守ることはしません。どうしてもキャッシュが必要になった場合は、自社の手元流動性で最大限、その資金ニーズを満たすようにします。
さらに、グループの多種多様な事業から生まれる利益を元手に、手元流動性を常に補充していきます。
財務で最上級の強さを維持するためにバークシャーは法外な代償を支払っています。我々が通常、手元に保有している200億ドル超の現預金は現状、スズメの涙ほどの収益しか生まないからです。しかし、そのおかげで枕を高くして眠れます」
(前掲紙 バフェットの手紙より)

無目的にキャッシュを積み上げている日本企業の経営者の多くは、これを読んで我が意を得たりと手を叩いていることでしょう。

しかしバフェットと多くの日本企業の経営者との違いは、「バークシャーは法外な代償を支払っています」という認識があることです。そしてそのことについて株主に説明し、理解を求めていることです。

これは決定的な違いであると私には思えます。

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