個人の寄附金「5~10万円全額控除」を検討

菅直人副総理・財務相は10日の参院予算委員会で、政治家や政党への個人献金を国民から幅広く募るため、税制優遇措置の拡充を検討する考えを示した。
(日本経済新聞2010年3月11日1面)

【CFOならこう読む】

「現在の寄附に対する控除の方式は中途半端だ。年間5万円や10万円を上限として、そこまでは(税額から)全額控除するということで努力したい」(前掲紙)

寄付金について議論するのなら、5万円や10万円の上限を設けるという発想では駄目でしょう。

先日、当ブログで山内直人大阪大学教授の寄付金の重要性を指摘した論稿を紹介しました。
2010年02月5日「寄付金税制のあり方」

一部以下に再掲します。

「古い公共」の担い手は政府・行政であり、主に税収によって公共サービスを提供するため、多様な公共ニーズに機動的に対応するのが難しい。一方「新しい公共」の担い手は非営利組織(NPO)や非政府組織(NGO)などの市民活動団体であり、その活動を支える資源として、寄付やボランティアが重要な役割を演じる。ただ現状では寄付もボランティアも市民活動団体の運営を支えるのに十分とはいえない。国際的にみても、例えば個人所得に対する寄付の割合は、米国や英国と比べけた違いに小さい」

経済的な強者が、税金を払う変わりに、資金使途まで指示する形で公の活動に貢献するような仕組みにしなければなりません。

5万円や10万円ではお話しになりません。

ただしこれが個人献金に限定されるということなら、広く薄く集めることが重要だと思います。

政党への献金と非政府組織への寄附を一緒くたに議論するのは間違っています。

【リンク】

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