ビックカメラの池袋本店を巡る決算修正に伴う更正請求、税務署は認めず

ビックカメラは、2002年に池袋本店などを対象に実施した不動産流動化の課税処理について、東京国税局に意義申し立てをする見通しだ。流動化の適否を巡り、証券取引等監視委員会と税務当局の判断が分かれたためで、東京国税局に再調査を求めたい考えだ。
(日本経済新聞2010年3月16日17面 一目均衡)

【CFOならこう読む】

「同社は2002年、不動産流動化により池袋本店などを会計上、売却処理した。しかし、日本公認会計士協会の実務指針では売却先のSPC(特別目的会社)に出資する豊島企画(東京・渋谷)がビックカメラの子会社にあたると監視委に指摘され、売却処理を取り消した」(前掲紙)

本件については、当ブログでは2008年7月15日(https://cfonews.exblog.jp/8305889)及び2008年9月30日(https://cfonews.exblog.jp/8688347)に取り上げました。

ところで会計上誤謬が発見され、決算修正を行なった場合の税務処理はどのようになされるべきでしょうか?

この点、企業会計基準24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更および過去の誤謬の訂正から適用)

との関連もあるので少しだけ触れてみたいと思います。

以下、KPMG ニューズレターから引用します(http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/201002/03.html

「誤謬として取り扱われる事項を次の2つの類型に区分して、それぞれのパターンにおける法人税法上の取扱いを見てみよう。

(ア)法人税法の規定に従っていなかった、あるいはその計算に誤りがあった場合

(イ)法人税法の規定には従っており、かつ、計算に誤りはないが、一般に公正妥当な会計処理基準には則していなかった場合

(ア)については、修正申告の提出あるいは更正の請求もしくは更正処分の対象になる。

(イ)については、法人税法の規定自体には則して作成された確定申告書であるため、修正申告あるいは更正の請求もしくは更正処分の対象となる事象とは考えられない。」

本件についての税務署の判断は、「売買がなかったものとして金融取引とする理由はない」ということから(イ)のケースに相当するということなのでしょう。

会計上流動化が否定されたにも関わらず、税務上は流動化を肯定するということがあり得るのか、異議決定が注目されます。

税務署としては3億円程度の所得隠しを挙げたばかりに、法人税26億円の減額を求める更正請求を受けることになったわけで、更正請求は認められないと言いたい気持ちは心情的には理解できます。

【リンク】

なし