日銀が追加緩和

日銀は17日の金融政策決定会合で、期間3ヶ月の資金を超低金利(年0.1%)で金融機関に貸し出す「新型オペ」の供給枠を現在の10超円規模から20超円規模に倍増する追加の金融緩和策を決めた。白川方明総裁は会合後の記者会見で「経済・物価の改善の動きを確かなものにする」と狙いを説明。「今後ともきわめて緩和的な金融環境を維持していく」と語り、政策の効果が出るまで粘り強く対応する考えを示した。
(日本経済新聞2010年3月18日1面)

【CFOならこう読む】

「財政悪化が進む中で、政府は日銀の国債購入への期待を強めている。ただ日銀は「財政赤字の穴埋め」と受け取られかねない国債買い取り増額には慎重。国債の買い取り増額が何故まずいのか?

それは大きなインフレにつながる可能性があるからです。

この点2月19日の当ブログ(2010年2月19日エントリー白川日銀総裁、国債下落のリスク警戒 日本の財政は”深刻な状況にある”)でお話ししましたが、一部再掲します。

文芸春秋3月号に、野口悠紀雄氏の「ついに国債破綻が始まった」という論稿が掲載されています。その中で野口氏は、1930年代に高橋是清蔵相が日銀引受けによる国債発行を行なったことにより、4年間で物価が60倍上昇したことを紹介した上で、このようなことが起きないように、財政法5条が日銀引受け国債発行を禁止しているが、これが形骸化するリスクを次のように指摘しています。

「日銀は、銀行が保有する国債を買い上げることができる。これは市中に資金を供給する方式の一つであり、そのこと自体が問題であるわけではない。しかし、もし政治からのプレッシャーを受けて日銀が国債買い取りを増せば、実質的に直接引受けと似た効果が生じる(現在日銀の国債保有残高は68兆円である)」

2人の審議委員が新型オペ増額に反対したことで日銀は、政府の言いなりにはならない、との姿勢を示したと見ることができます。

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