日本証券業協会、未上場企業への個人出資規制延期

日本証券業協会は2日、IPOを目指す企業への個人の出資を規制する協会規則改正について、当初20日としていた施行日を延期すると発表した。延期期間は「未定」という。未公開詐欺の防止が狙いだったが、個人の出資を受けにくくなるとの批判が殺到した。
(日経ヴェリタス2010年7月5日26面)

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この件は6月30日に「日本証券業協会、上場前の個人出資禁止案」として言及しました。その中で私は次のように書きました。

「原則禁止、例外として適正な資本政策目的で行なわれたと考えられる場合には引受け禁止の適用除外とするということですが、私のブログの資本政策詳解を見てもらえばわかる通り、適正な資本政策であるかどうかの判断は非常に難しく、この判断を引受証券会社に求めるということなら、実質的に個人からの出資を募っていた会社の上場の途は閉ざされることになりかねない、と私は思います」

適用除外の条件が示されていないことについて、今日取り上げた記事では次のように説明しています。

「適用除外の条件を詳細に示すと、悪意のある会社が投資家の形式を満たし、詐欺をはたらく恐れがある。日本証券業協会は1日まで募集していたパブリック・コメントの回答で、エンジェル投資家は適用除外と説明する予定だった」(前掲紙)

今回の規則改正は延期と発表とされていますが、日本証券業協会は、

「本案の取扱いも含め、適切な未公開株詐欺の未然防止に向けた対応についてあらためて議論することといたしました」

とのコメントを発表しており、今回の規則改正はお蔵入りとなりそうです。

【リンク】

2010年7月2日「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正(案)」の取扱いについて 日本証券業協会[PDF]