第一生命、永久劣後ローンで3000億円調達へ

第一生命保険は自己資本の強化に向けて、10月にも永久劣後ローンで3000億円規模の資金を調達する。2012年3月期に導入予定の新しい健全性基準に対応するのが目的で、生保の劣後ローンの調達額では過去最大規模とみられる。みずほコーポレート銀行など20行以上と、資金調達に向けた調整に入った。
(日本経済新聞2010年9月14日1面)

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「永久劣後ローンの調達で、すでに借りている期限つき劣後ローン約2800億円と置き換える。新基準は通常の劣後ローンは資本と見なさないが、永久劣後ローンは資本に組み入れることができる」(前掲紙)

「「ソルベンシー・マージン比率の見直しの骨子(案)」及び「ソルベンシー・マージン比率の見直しの改定骨子(案)」に対する意見の概要及びそれに対する金融庁の考え方」によると、

「負債性資本調達手段等の算入においては、負債性資本調達手段のうち、利払の義務の延期や金利の上乗せについて一定の条件を満たすものを「資本性の高い一定のもの(告示案では「特定負債性資本調達手段」と規定しています。)」として、算入制限を設けないこととしています。具体的な要件については、告示(第1条第6項)及び監督指針の案をご覧ください」

と書かれています。

ここでいう告示とは、「保険会社の資本金、基金、準備金等及び通常の予測を超える危険に相当する額の計算方法等を定める件」(平成八年大蔵省告示第五十号)のことで、第1条第6項には次のように記載されています。

「前項の「特定負債性資本調達手段」とは、第四項第五号イに規定する負債性資本調達手段のうち、利払の義務が非累積型(延期された利払を行う必要がないものをいう。)又は累積型(延期された利払が累積し、翌期以降において当該利払を行う必要のあるものをいう。)のものであって利払の義務の延期に制限がないものをいう。」

第四項第五号イの負債性資本調達手段の定義は次の通りです。

「負債性資本調達手段等(次に掲げるものの額の合計額をいう。)
イ 負債性資本調達手段で、次に掲げる性質のすべてを有するもの
(ⅰ)無担保で、かつ、他の債務に劣後する払込済のものであること。
(ⅱ)第九項に規定する場合を除き、償還されないものであること。
(ⅲ)損失の補てんに充当されるものであること。
(ⅳ)利払いの義務の延期が認められるものであること。」

この(ⅰ)から(ⅳ)の要件にあてはまるローンを永久劣後ローン(永久劣後債)といいます。

【リンク】

「「ソルベンシー・マージン比率の見直しの骨子(案)」及び「ソルベンシー・マージン比率 の見直しの改定骨子(案)」に対する意見の概要及びそれに対する金融庁の考え方」[PDF]

2010年4月9日「保険業法施行規則の一部を改正する内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」金融庁

「保険会社の資本金、基金、準備金等及び通常の予測を超える危機に相当する額の計算方法等を定める件(平成八年大蔵省告示第五十号」