ソニーのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)改善

ソニーの現金を生み出す力が回復している。社を挙げた在庫圧縮や売掛金の回収早期化などの活動が奏功し、電機大手の中でも際立って資金の効率性を示す指標が改善している。
(日本経済新聞2010年10月7日15面)

【CFOならこう読む】

キャッシュ・コンバーション・サイクル(CCC)とは、

「資金の効率性を示す指標のひとつ。売掛金と在庫の回転日数から、買掛金の回転日数を
差し引いて求める」(前掲紙)

「2010年4~6月期のキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)は181日と金融危機前(2008年4~6月期)に比べ28%(67日)改善。要因を分析すると最も寄与したのは在庫の圧縮で、回転日数は26%改善した。売掛金の回転日数も5%改善。一方、買掛金については取引先への支払い条件をすぐに変更できないとみられ、回転日数は横ばい」(前掲紙)

基本的にはCCCの改善は売掛金と在庫の管理を徹底させることで実現されます(売掛金の早期回収化や買掛金の支払い延長には金利負担を伴う場合が多いので、改善とは言えない結果をもたらす場合もあります)。

例えば東芝の場合には次のような施策を打つことでCCCの改善に取り組んでいます。

・事業部門ごとに在庫や売掛債権の管理を徹底する
・期末に集中しがちな債権の回収時期を期中に平準化する
・債権流動化の規模を拡大する
・トヨタのジャストインタイム方式を火力発電所など重機部門の工場にも導入する
・高額な資材を必要以上に持たないようにして棚卸資産を圧縮する

この中でも最も効果があるのは一番上です。

徹底した管理がキャッシュを生むのです。
内部統制にもこのような視点を組み込む必要があるように思います。

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