りそな増資発表後、株価大幅下落

りそなホールディングス(HD)の細谷英二会長は12日の決算会見で、5日に発表した6000億円の公募増資計画を含む公的資金の完済策について「資本の質が求められている時代であり、経営者として先手を打った」と述べた。ただりそな株は増資発表の前日終値(612円)から12日終値の478円まで、2割以上下落している。
(日本経済新聞2010年11月13日4面)

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りそなの公的資金残高は、平成22 年9 月末現在16,852 億円あります。
今回の公募増資は、「りそな資本再構築プラン」の一環として行われるもので、調達資金は預金保険法に基づく優先株式の返済原資に充てられます。

「りそな資本再構築プラン」の具体的な内容は以下の通りです。

「■ キャピタル・エクスチェンジ(資本の交換)の実施と追加的な公的資金返済
○ 最大で9,000 億円の預金保険法優先株式の返済を実施[以下の(1)+(2)]
(1) 預金保険法優先株式と普通株式(公募発行)の実質的交換:6,000 億円程度
(2) 剰余金3,000 億円程度の活用による追加返済
[目的・効果]
① 財務基盤を「公的優先株式」から「普通株式」中心のわかりやすい資本構成へ
② 資本政策の重点を「公的資金返済」から「普通株主価値の向上」へ
・普通株主に対する長期的なトータルリターンの向上(今後の事業の成果を普通株主価値の向上に直結させる)
・本プラン実施を条件に、年間普通配当を2 割増配の方針
③ 預金保険法優先株式の返済を加速し、公的資金完済に向けた展望を明示
④ 株式評価に係る不確実性の払拭(潜在株式数の大幅な削減と将来的な希薄化影響の排除)
⑤ 新たな自己資本規制を踏まえた資本の質的強化も同時に実現」
2010年11月5日「新たな「経営の健全化のための計画」の提出ならびに 『りそな資本再構築プラン』の策定について」株式会社りそなホールディングス [PDF]

昨日のポストで、調達資金が良い投資に向かわなければダイリューションは必然的に生じるとお話ししましたが、りそなの場合はエクイティ内での移動に過ぎず、理論的に大きなダイリューションを生じるものではないと考えられます。

いずれにしても、現状、CFOとしてはエクイティ・ファイナンスには慎重にならざるを得ないですね。

【リンク】

2010年11月5日「新たな「経営の健全化のための計画」の提出ならびに 『りそな資本再構築プラン』の策定について」株式会社りそなホールディングス [PDF]