株主優待引当金

株主優待引当金計上企業が増加

株主優待の費用を引当金として計上する企業がじわりと増えている。2007年3月期ー2008年2月期の貸借対照表に株主優待引当金を計上した企業は18社と1年前に比べ11社増加した。個人株主を獲得する手段として株主優待制度が広がる中、企業は優待のコストを認識する必要に迫られている。
(日本経済新聞 2008年6月10日16面)

【CFOならこう読む】

会社計算規則における負債の評価に関する規定は、会社計算規則第6条に通則的な規定が設けられています。
①原則
負債については原則として債務額を付さなければなりません(計算規則6条1項)
②引当金
引当金の計上の可否については、債務性の有無にかかわらず、企業会計の基準その他の会計慣行により判断されることを前提としたうえで、引当金については、債務額ではなく適正な価格により評価することができるとしています(計算規則6条2項1号)。

そしてこの引当金には、「株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む」と規定されています(計算規則6条2項1号)。

会社法立案担当者は、「会社法の計算詳解 第2版」(郡谷大輔・和久友子編著 中央経済社)の中でこの規定の趣旨を次のように説明しています。

「また、「株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む」とあるのは、創設的な意味ではなく、役務を提供の相手方が誰であるかにかかわらず(例:株主に対する株主優待)、費用・損失の発生または収益の控除が見込まれることにより引当金を計上すべき場合には、適正な価格を付すことができることを注意的・確認的に規定したものである。」

”できる”という表現が引当計上してもよい(しなくてもよい)という風に読めますが、これはそういうことではなく、株主優待のように、役務の提供の相手方が株主の場合でも引当計上できるのか、という昔からある疑問に対して、”問題なくできる”と答えたものと解されます。

【リンク】

会社法の計算詳解 第2版―株式会社の計算書類から組織再編行為まで
郡谷 大輔 和久 友子

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