ケンウッド、ビクター統合ー統合比率は1:2

ビクターとケンウッド、10月統合発表・営業利益、3年後4倍に

日本ビクターとケンウッドは12日、10月1日付で共同持ち株会社を設立し経営統合すると正式に発表した。両社が強みを持つ技術を融合し、カーエレクトロニクスや無線・防犯機器などを軸に収益を拡大。3年後の2011年3月期に連結営業利益を08年3月期のほぼ4倍の390億円に引き上げる。ただ統合後も規模で大手に劣り、中核事業の育成が急務。両社は提携の拡大にも意欲的で、今回の統合がさらなる電機再編の呼び水になる可能性もある。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080513AT1D120AD12052008.html

【CFOならこう読む】

昨日統合比率は1:2(ケンウッド株式1株に対し持株会社株式1株、ビクター株式1株に対し持株会社株式2株を割り当て)と発表されました。会計上取得か持分の結合か気になるところですが、プレスリリースには次の記載があり、取得として会計処理されるようです。

「本株式移転は企業結合会計基準における「取得」に該当し、パーチェス法を適用することになるため、共同持株会社の連結貸借対照表において「負ののれん」の計上が見込まれ、その償却にともなって営業外収益が増加する見込みです。これにより、当期純利益やROEなどが増加する見込みです。」

負ののれんが発生するということは、PBRが1倍を下回るビクターが被取得企業であることを意味します。時価総額ではケンウッドを大きく上回るビクターが被取得企業となるわけです。

取得か持分の結合の識別について「企業結合に係る会計基準」は以下の要件の全てを満たしていない場合には、取得と判定する旨規定しています。

(1) 企業結合に際して支払われた対価のすべてが、原則として、議決権のある株式であること
(2) 結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が等しいこと(議決権比率が45%から55%の範囲内)
(3) 議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと

本件の場合、(1)の要件は満足しています。(2)の要件については、ケンウッドがビクターの17%の持分を有していることを勘案すると、ケンウッド株主:ビクター株主=45:55となるので、これも満足していると思われます(もちろん1:2という統合比率はこれをクリアーするために恣意的に決められたという見方も出来なくはありませんが)。

ということは、(3)の要件を満足せず、つまりケンウッドがビクターを支配している一定の事実があるため取得と判定されたということです。これが具体的に何であるかはもう少し調べてみないとわかりません。後日またフォローしたいと思います。

【リンク】

平成20年5月12日「日本ビクター株式会社と株式会社ケンウッドとの共同持株会社設立(株式移転)による経営統合について」日本ビクター株式会社
http://www.victor.co.jp/company/ir/pdf/info-080512a.pdf