東証・大証 統合協議へ

東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合に向けて協議に入ることが9日、明らかになった。東証、大証それぞれに上場する商品を株式、投資信託など現物取引所と、先物などデリバティブ(金融派生商品)取引所に再編する案が
有力。東証が今秋にも株式を上場、来年秋の統合を目指す。規模の拡大で経営効率を高め、日本の証券市場の国際競争力の向上につなげる。

(日本経済新聞2011年3月10日1面)

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背景には世界的な規模での証券取引所の合併・統合が進んでいることがあります。ロンドン証券取引所グループ(LSE)と北米のTMXグループの統合、ニューヨーク証券取引所とドイツ取引所との統合のニュースが入ってきており、世界の証券取引所に大再編の波が押し寄せてこようとしています。

株式売買代金で世界4位の東証も、2年連続上海取引所の後塵を拝しており、今のままではジリ貧で、世界的な大再編に飲み込まれてしまうとの危機感があるのだと思います。また、大証もデリバティブの取引高でアジア7位(世界15位)にとどまっています。

奇しくも今日の経済教室では神田教授が「進む取引所再編」という論稿を寄せています。

「証券取引所は、株式などの証券現物取引市場と、デリバティブ取引市場を提供する。国によって現物取引とデリバティブ取引の組み合わせは一様ではないが、基本的には従来、証券取引所はそれら両方の市場を提供することで競争をしてきた。しかし、金融技術が発展し競争が激化すると、現物とデリバティブの各市場でそれぞれに競争相手が登場する。その結果、両方の市場をセットで提供していたのでは、グローバルな競争に勝てない。市場ごとに競争力を高めて、グローバルな提携を模索する必要が出てきている」
(日本経済新聞2011年3月10日29面)

その意味では、東証/大証は現物取引について世界の主要銘柄をすべて取り扱う、という方向に向かうしかないように思います。

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