富士バイオメディックスの財務諸表

医薬品開発支援会社「富士バイオメディックス」(東京・千代田、民事再生手続中)の粉飾決算疑惑で、東京地検特捜部は10日、旧証券取引法(現・金融取引法)違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、当時の社長を含む旧経営陣の強制捜査に乗り出す方針を固めた。
(日本経済新聞2011年5月10日35面)

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「企業買収などで膨らんだ多額の借入金の返済に悩んでいた同社の旧経営陣らは、虚偽情報の公表による第三者割当増資で返済資金を集めようと計画」(前掲紙)

粉飾というのは、実態のない利益を捻出する行為です。利益は仕訳でいうと貸方の科目です。従って複式簿記では借方にやはり実態のない資産が必ず計上されます。

富士バイオの平成18年5月期から平成20年5月期の3期間で特に増減が目立つ財務諸表項目は次の通りです。

(単位:百万円)

平成18年5月期 平成19年5月期 平成20年5月期
受取手形及び売掛金 2,767 1,966 6,156
たな卸資産 806 1,665 2,820
のれん 1,409 6,828 6,816
投資有価証券 865 1,645 1,471
長期貸付金 77 120 2,136
出資金 1,911 624
投資仮勘定 1,120
短期借入金 3,927 5,354
一年以内返済予定の長期借入金 1,208 2,126 3,441
長期借入金 4,840 6,177 9,352
売上高 12,031 18,215 29,496
売上原価 9,816 13,883 21,640
販管費 1,428 3,332 5,625

具体的な粉飾の手口について、色々と推測することは出来ますが、それをここで書くのは止めておきます。

ただ一つ言えるのは、「粉飾アレンジャー」の関与も報道されていますが、複数の関係者が一つのシナリオのもと共謀しなければ、このような粉飾は実行不可能であるということです。

そうであるなら、粉飾に加担した取引先等の罪がもっと厳しく問われてしかるべきだと私は思います。

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