HOYA、リコーに「ペンタックス」ブランド譲渡

リコーは1日、HOYAが「ペンタックス」ブランドで展開しているデジカメカメラ事業を10月に買収すると発表した。リコーはペンタックスの一眼レフの技術と販路を取り込み、新興国を中心にカメラ事業を拡大。事務機に次ぐ事業の柱に育成する。医療機器などに経営資源を集中させたいHOYAと思惑が一致した。価格戦争の激化を背景にデジカメ業界の本格再編が幕を開けた。
(日本経済新聞2011年7月2日9面)

【CFOならこう読む】

「HOYAがペンタックスのカメラ事業を新会社として切り出したうえで、リコーが100%子会社化する。買収額は非公表」(前掲紙)

スキームとしては以下の通りです。

HOYA は、PENTAX イメージング・システム事業(デジタルカメラ・交換 レンズ、デジタルカメラアクセサリー、セキュリティカメラ関連製品および双眼鏡など光機製品の開発・ 製造・販売事業)を、HOYA が新会社(本新設会社)を設立のうえ、平成 23 年 10 月1日付(予定)で、 会社分割(吸収分割)により本新設会社に承継させ、その効力発生日に、本新設会社の株式をリコ ーに譲渡しま す。

これに伴い、HOYA は、本分割・譲渡に先だって、PENTAX イメージング・システム事業に関 する HOYA の海外子会社である PENTAX VN CO., Ltd の株式を本新設会社に対して譲渡(以下、 本子会社株式譲渡)する予定です。

本会社分割は、簡易吸収分割であるため、株主総会の決議は省略されます。

ペンタックス経営陣が、HOYAとの経営統合を巡り内紛を繰り広げていた2007年5月に、ペンタックス本社のそばに、「オリンパスでチャンスを見つける。デジタルカメラ、光学技術者をを募集しています。」と書かれたポスターが貼られました。

このポスターを見てオリンバスに転職した人もいれば、残ることを選択し、結果として今回HOYAからリコーに異動する人もいると思います。このようなM&Aが増えて行くことにより、一生同じ会社に勤務することが普通のことではなくなって行くでしょう。そうして近い将来、中高年の従業員の転職が珍しいものでなくなれば、転職市場(マーケット)も整備されることでしょう。

そうなれば、”雇用を守る”ことが経営のお題目ではなくなり、リストラを伴うM&Aを経営者は躊躇なく実行できるようになるでしょう。そうして日本でもM&Aが一般的な経営のツールとなって行くのだと思います。

しかし、それまでは安易にリストラに走らず、事業とともにヒトを活かす方策としてM&Aを利用することを、経営者の皆様には切にお願いする次第です。

【リンク】

2011年7月1日「PENTAX イメージング・システム事業の譲渡に関するお知らせ」HOYA株式会社 [PDF]