ドイツ、13年に所得税減税

ドイツ政府は6日の閣議で、好景気で税収が大幅に増えたのを受け、次の連邦議会選挙がある2013年に所得税を減税する方針を決めた。日本の原発事故で野党の環境政党が躍進するなど連立の与党に逆風が吹いており、メルケル政権が苦心の支持浮揚に乗り出す。
(日本経済新聞2011年7月7日7面)

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「12年の予算案や15年までの中期財政計画とともに、13年初めから減税をする基本方針を決めた。規模などは今秋までに詰めるが、独メディアでは最大100億ユーロ(約1兆1600億円)程度との観測が出ている」(前掲紙)

ドイツは2007年にVAT(付加価値税)を16%から19%に引き上げた際、同時に所得税の最高税率を42%から45%に引き上げています。
(さらに2008年に法人実効税率を38.36%から29.83%に引き下げています)

「ドイツ税制改革 ~海外調査報告~」財政金融委員会調査室 伊田 賢司 [PDF]

所得税の最高税率の引き上げは、必ずしも税収確保のためではなく、課税の平等感を高める狙いがあったと説明されています。今回の所得税減税がどのような形で行われるか現時点では不明ですが、方向性としてはVAT増税、所得税・法人税減税なんでしょう。

ドイツの税制改革は、日本の税制改革の先行事例として注目されており、ドイツの税制の動きは、少なからず今後の日本の税制改革を巡る議論に影響を与えるものと思われます。

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