ベンチャー企業、CFOが必要 − 神戸大学 忽那憲治教授

「大きく産んで大きく育てる」が世界の主流専門経営者への交代やCFOの登用が重要ベンチャーキャピタルの能力向上も不可欠
(日本経済新聞2011年11月11日27面 経済教室)

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忽那教授は、日本のベンチャー企業にも、「創業時から大規模な外部株主資本をベンチャーキャピタルなどから導入し、創業から成長初期段階において、グローバルな競争環境で圧倒的なポジションを築くように模索する姿勢」が必要と説いています。

その上でそうした姿勢に転換するために次の3つの課題を掲げています。

1.エクイティファイナンスを利用するための知識を身につける
2.企業のライフサイクルに応じてCEOを交代すること及びCFOの重要性を認識する
特に不確実性の極めて高い金融・事業環境下で急成長を実現するには、CFOの存在が不可欠
3.ベンチャーキャピタリストの投資先企業に対する価値付与は不十分であり、能力向上が欠かせない

仰ることはごもっともですが、その前提として大きなリスクをとってリターンを求める企業家を尊ぶ風土を育む必要があるし、失敗してもやり直せるセイフティネットを整備する必要もあります。さらに国家は、企業家が価値創造を進めるために必要なインフラを再構築を急ぐべきです。

例えば企業再編税制。

グループ内ではない企業同士の合併や株式交換で、含み益に対する課税を繰り延べるためには、両法人の事業に関連性、つまりシナジーがなければいけないとされています。しかし、それでは買収企業が全くの新規事業に進出することが阻害されることになりかねません。

親子上場問題を解消するために、子会社株式を株主に分配するスピンオフが無税ではできません。

エクスチェンジテンダーオファー、すなわち自社株対価のTOBを、企業組織再編税制がカバーしていないため、TOBに応じた株主に課税が生じます。

こんな税制しか持たない国でアントレプレナーが育つはずがありません。

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