オリンパス預金水増しで損失隠す

オリンパスが証券投資の損失を隠していた問題で、不正な経理操作の手口が10日、同社の第三者委員会の調査で明らかになった。財テク失敗で膨らんだ含み損を預金水増しや実態の伴わない証券投資として資産に計上。損失を隠した資産はピークの2005年3月期末には1,300億円超に達し、企業買収に絡む支出で穴埋めした。現在までに損失処理は終了したもよう。
(日本経済新聞2011年11月11日1面)

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「損失処理は終了したもよう」というのはミスリードではないでしょうか?

買収を通じて支出されたキャッシュは、含み損の解消に使用されたのでしょうが、連結財務諸表上は、フィナンシャルアドバイザリー報酬も含めのれんを構成します。

オリンパスののれんの計上額の推移は以下の通りです。

2004年3月
2005年3月 577億円
2006年3月 796億円
2007年3月 787億円
2008年3月 2,998億円
2009年3月 1,805億円 (のれんの一括償却 762億円)
2010年3月 1,940億円 (のれんの一括償却 23億円)
2011年3月 1,754億円
2011年6月 1,682億円

現時点でも多額ののれんが計上されており、ここに対価性のない支出が含まれているのであれば、損失処理はいまだ終了していないといえます。

【リンク】

2009年5月12日「特別損失の計上および業績予想修正に関するおしらせ」オリンパス株式会社 [PDF]