米大学マネー2兆円運用

米国で大学の資金を共同運用する「コモンファンド」が存在感を高めている。専門家が少ない大学に代わって260億ドル(約2兆円)以上の資金を運用し、財務の健全化に寄与している。少子化などで大学の経営環境が厳しい日本でも、同様の運用機関を設立する動きが出始めている。
(日本経済新聞2012年9月6日6面英フィナンシャルタイムズ特約)

【CFOならこう読む】

「コモンファンドは複数の大学から資金を集めて運用規模を大きくすることで、個別の大学では難しい分散投資を可能にした。米国の株式(2012年6月末時点で資産の18%)や債券(同17%)だけでなく、未上場株式(同25%)やベンチャーキャピタル(同15%)といった代替(オルタナティブ)資産にも投資している」(前掲紙)

米国のコモンファンドの成功の要因のひとつとして、ファンドが非課税となっていることが挙げられます。コモンファンドに限らず、ハーバードをはじめ多くの大学基金は非課税となっています。ところが日本では事情が違います。

「運用機構の成功のカギとなるのが、機構の下に作る投資顧問会社に対し米国と同様に非課税措置が適用されるかどうか。大学の社会性・公共性を訴えたロビー活動を展開した米国を参考に、民主党や文部科学省などに働き掛けているが、税収減につながるだけに実現は容易ではないという」(前掲紙)

米国では、オルタナティブ投資の一部は、VCやプライベート・エクイティ・ファンドに流れ、新事業創設や事業再生を支えています。日本では、この分野に国自らが税金を使って資金拠出を行っていますが、それよりコモンファンド等の基金を非課税にし、この資金がオルタナティブ投資にも回る仕組みを作った方がずっと効率的だと思うのですが・・・。

【リンク】

なし