株主による企業統治を疑う?

株主総会の季節が近づいてきた。総務部門や財務部門は準備で大わらわだろう。
この季節になると、なぜ上場会社の株主にこれほどまでに大きな権限が与えられているのだろうか、という素朴な疑問を抱く人が増えてくる。
会社は多様な利害関係集団の恊働の場である。株主のほかに従業員、銀行、サプライヤーや流通業者などの取引相手、地域社会、政府や自治体などの公的組織体といった様々な利害関係集団がいる。その中でも貢献が目立たないのが株主である。にもかかわらずなぜ企業統治に関して過大とも言える大きな権限が与えられているのか。

(日本経済新聞2009年6月11日 15面 大機小機)

【CFOならこう読む】

今日の大機小機を書いているのは猪突氏である。私はどうもこの人と相性が悪いらしく、この人が何か言うとどうもピリピリと反応してしまいます。

「株主はほかの利害関係集団への分配が済んだ後の剰余である利益の一部しか受け取ることができない。こういうリスクを負っているから他の利害関係集団の利害に配慮せざるを得ない、というのがよりまっとうな答えだろう。」(前掲紙)

ブブー。違います。
そういう小さなパイを、様々な利害関係者で奪い合うという考え方ではありません。

残余利益請求権者である株主の利益を最大化させることはパイ全体を増大させ、ひいては国富の増大に繋がると考えるべきなのです。

「株主に大きな権利を与えることだけが株主の利益につながるのではない。実際、株主主権と言い始めてから日本企業の競争力が弱くなり、株価も上がらなくなった。この点について冷静に反省してみる必要がある。」

ヒエー、日本企業が駄目なのは株主の力が強いからですよ~。
皆さん上場を今すぐとりやめましょう。

「株主総会の季節が近づいてきた。総務部門や財務部門は準備で大わらわ」

その準備は多くの会社では、株主にモノを言わせず通り一遍で終わらせるためのものでしょう。

株主=従業員=顧客=取引先という構造の中で、株主価値最大化の意味を議論する必要があると、私は思います。

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