国際会計基準2015年〜16年の義務化目標

金融庁の企業会計審議会は11日、欧州を中心に世界100カ国以上で使われている国際会計基準を日本に導入するスケジュールを盛り込んだ中間報告をまとめ、2015年〜16年に上場企業での義務化を目指す方針を明らかにした。
最終決定は12年末まで持ち越すものの、義務化を段階的に進めることも検討する。欧米との会計統一を目指す姿勢を鮮明にしたが、国際基準への移行に際し企業は決算作成の手間が重くなる可能性がある。

(日本経済新聞2009年6月12日4面)

【CFOならこう読む】

日本経済新聞 2009年6月12日 4面

日本経済新聞 2009年6月12日 4面

「1月末に公表した中間報告制度では義務化の時期を明記せず、12年から「最低3年間準備が必要」との表現にとどめていた。ただ上場企業や監査法人の受け入れ準備が必要なため、報告書では明確に「15年〜16年」と盛り込んだ。国際基準に移行するのは投資家が重視する連結決算で、単独決算や非上場企業は引き続き日本基準を認める」(前掲紙)

いずれにしてもコンバージェンスを進めていく必要がある、ということをこのブログでも何度かお話ししました。この点報告書は、

「上記のような資本市場における会計基準とその運用の重要性に鑑みると、我が国資本市場の魅力を高め、ひいては経済活力の維持・向上を図っていく観点から、市場の公正性・透明性の確保、投資者保護の視点を改めて確認し、東京合意における既存の差異以外のIASBで検討中の基準を含め、高品質かつ国際的に整合的な会計基準及びその運用に向けたコンバージェンスの努力を継続していくことが必要である。」

と東京合意以外の差異についても進めることを明記しました。コンバージェンスを進める中で、どうしても難しい部分があれば2012年の最終判断において、国際会計基準の導入を見送ることを決めればよいと僕は思います。

ただ実際のところ米国の決定を見て、日本も最終判断をするということなのでしょう。強制適用後の個別財務諸表の取り扱いについて気になるところですが、報告書はこの点次のように記載しています。

「IFRSが強制適用された場合の個別財務諸表の取扱いについては、連結財務諸表が、個別財務諸表をベースに作成しており、企業の財政状態及び経営成績を表す基礎となる利益計算に基準が異なることにより違いが生じることは利害関係者の判断を誤らせる恐れがあることや、2つの基準で財務諸表を作成するコストに鑑み、個別財務諸表についても連結財務諸表との整合性を重視しIFRSにより作成すべきとの考え方がある。
他方、個別財務諸表は、国際的な比較可能性の面からは、連結財務諸表ほど重視されないこと、前記のとおり会社法・法人税法との関係の整理のための検討・調整が必要となることなどから、個別財務諸表へのIFRSの適用には慎重な考え方もある。
したがって、上場企業の連結財務諸表へのIFRSの適用に加えて、上場企業の個別財務諸表(連結財務諸表を作成していない企業のものを含む。)へ適用することについては、強制適用の是非を判断する際に、幅広い見地から検討を行う必要がある。その際には、投資者が必要とする情報を適切に提供する観点から、IFRSに基づき連結財務諸表において開示される情報・内容等を踏まえて、個別財務諸表の開示内容のあり方についても、併せて検討することが適当である。
また、連結財務諸表を作成していない上場企業について、我が国の会計基準による個別財務諸表の作成を引き続き義務づける場合においても、追加的にIFRSによる個別財務諸表を作成することを求めることが考えられる。」

少なくとも以前のような連結のみ国際会計基準でいく、という方向性でなくなった点は評価できると思います。

【リンク】

2009年「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」企業会計審議会[PDF]