キヤノン御手洗会長、研究開発費減税評価

キヤノンの御手洗富士夫会長兼社長は9日、日本経済新聞の取材に対し「3~5年以内に国内で生産する高価格帯のデジタルカメラ用レンズの生産を自動化する」との方針を明らかにした。為替相場については1ドル=90~100円が適正と強調。円高修正が続けば、販売や生産面の競争力が回復するとの見方も示した。
(日本経済新聞2013年1月10日12面)

【CFOならこう読む】

昨日のエントリーで、付加価値の高いセグメントを日本に誘致する重要性を強調しました。この点に関し御手洗会長は次のように述べています。

−経営環境は厳しく効率化が不可欠です。
「カメラ用レンズを作る宇都宮工場で自動化の実験を進めている。2013年には本格導入できそうだ。自動化設備の量産を段階的に進め、3~5年以内には国内で手掛ける高級レンズ
生産全体の自動化を目指す。」
-海外でレンズの自動化を進める考えは。
付加価値の高い製品は開発部門の近くで生産することが重要だ。残せるモノは徹底して関税リスクのない日本に残したい。自動化が進めば海外でやる必要はない。」(前掲紙)

開発部門と付加価値の高い製品の生産を日本に誘致することで新たな雇用が創造できます。

御手洗会長は、関税リスクがないから日本に残したいと言っていますが、それでは駄目です。日本国民が優秀で、日本人がいなければその製品の開発と生産は出来ない、と経営者に思ってもらわなければなりません。

そのためには、教育が最も重要です。今日の新聞でファーストリテイリングの柳井会長が大学改革の必要性を語っています(25面)。

しかし、私は小、中、高も含め従来の優秀な工員を作るための教育を改めなければ日本の未来はない、と思っています。

御手洗会長の言葉からもわかるように、優秀な日本の工員に対する需要はますます少なくなっていくことが明々白々なのに、教育が変わらなくて良いわけはありません。

もちろん減税も必要です。この点御手洗会長は一定の次のように評価しています。

−新政権に何を期待しますか。
「研究開発減税の拡大だ。控除限度額が現行の20%から30%になれば新しいイノベーションを起こせる。」(前掲紙)

しかし平成21年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する事業年度において控除限度額は、その事業年度の法人税額の30%でしたが、大きな成果につながることはありませんでした。

やはり時限立法ではなく、恒久的な措置にすることが必要でしょう。さらに、特許の使用料など知的財産から生じる所得への課税を軽くする「パテントボックス」制度の導入も真剣に検討すべきであると考えます。

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