大きな政府か、小さな政府か-その2

次の衆院選の主要争点として国会議員の世襲制限が浮上している。民主党が衆院選のマニュフェストに世襲制限を盛り込む方針なのに対し、自民党の党改革実行本部は条件付きで世襲立候補を容認する案をまとめた。二大政党制の下では「争点の収れん」が起こりやすいが、世襲制限では現時点で珍しく明確に立場が分かれている。
この問題を、有権者はどう考えればよいのか。本稿では世襲議員が突出する日本政治の現状を概観した上で、この現象が日本政治の構造とどう結びついているかをみたい。

(日本経済新聞2009年7月7日25面 経済教室 加藤創太 国際大学教授)

【CFOならこう読む】

7月4日エントリーの続きです。

このエントリーで、僕は自民党も民主党も大きな政府を志向していて、その点についてだけ見ると、どちらを選んでも一緒だということを書きました。

今日の経済教室は、そうでもないかも知れないということを示唆するもので、興味深く読みました。

「数理統計学者のホテリングは、海岸で海水浴客が均等に散らばる中、売上最大化を目指す2人のアイスクリーム売りがどこに屋台を設置するかを分析した。その結論は、海岸のちょうど真ん中に隣り合う形で2つの屋台が置かれるというものだった。
彼のモデルはその後、政治学者によって政党間競争モデルの基本形として用いられるようになる。二大政党が競い合えば両者の政策ポジションは、アイスクリーム売りがビーチの真ん中に屋台を置いたように有権者の嗜好の中心点に収れんしていくという。
その結果、有権者は二大政党の政策的差異が見いだせなくなる。まさに今の日本である。
(中略)
だが表向きはそうでも、政党内部では、政治報道で一部伝えられるように、様々な権力闘争や駆け引きで力関係が決まっていく。」(前掲紙)

世襲議員比率と人口密度、職業、収入といった比率が有意に相関しているので、「その他の重要争点ー”都市部と地方”、”変化と安定”、”保守と革新”、”効率と公平”などに関する両党内の力関係を探る一つの手掛かりとなる」というのが、加藤氏の主張です。

僕としては、”効率と公平”という争点に最も関心があります。この論点は格差社会や派遣切りといった、より本質的で具体的な各論に繋がるものだからです。

ところで、自民党と民主党どっちがどっちなんでしょう?

民主党=世襲制限→公平、ということなんでしょうけど、現政権のばらまき方を見るとどっちがどっちだかよくわからない、と感じますね。

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なし