【資本政策詳解】クックパッド

クックパッドの株式上場の概要は次の通りです。

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クックパッドは、1997年設立、料理レシピ投稿・検索サイトの運営、業向けマーケティング支援サービスおよび有料会員サービスの提供会社です。

公募価格9500円、2010年4月期見込みEPSが278.12円なのでPER34.15倍という水準での株式公開となりました。佐野社長は、この上場による売り出しで、10億円超のキャッシュを手にします。久々に景気の良いIPOとなります。

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クックパッドの主な資本政策は (表2)の通りです。

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公募株数は佐野社長のキャピタルゲイン金額と上場後に50%超の持株比率を確保することを制約条件に決定したようです。上場後も佐野社長は単独で52%程度の持分を維持します。

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従業員へのインセンティブは、ストックオプションによっています。

僕はマザーズに上場するようなベンチャー企業のオーナー経営者がIPOの際に売り出しを行うのは理解できません。

クックパッドの2009年4月期の売上はたかだか10億円程度でしかありません。IPO価格は今後の成長を期待してつけられたもので、この期待に応えたときに佐野社長は胸をはってキャピタルゲインを獲得すれば良いのに、と僕は思います。

もうひとつ気になることがあります。この会社は委員会設置会社です。これからIPOをしようという会社が、しかもオーナー経営者が過半数の持分を保有するような会社の社外取締役が独立した判断を行うことができるのか?

特に社外取締役の一人は、第二位の大株主で佐野社長とともにIPO時に売り出しを行います。また、2008年4月期まで佐野社長とともに事務所賃貸借に係る債務保証も行っています。

そこまで経営にコミットしている人間が佐野社長とともに3名しかいない報酬委員会と指名委員会のメンバーになるのはいかがなものか、と思います。

この会社のコーポレートガバナンスは極めて脆弱である可能性は否めません。

【リンク】

クックパッド株式会社