リース取引の資産負債計上-JALとANA

リース取引を経済実態に合わせて財務諸表に反映させる新会計基準が、2009年3月期決算から導入された。資産負債として計上すべきリース取引の範囲が広がり、財務の透明性向上が期待できそう。ただ、新基準導入前に契約したリース取引は従来通り帳簿計上しない処理も認められたため、財務数値を比較しにくいとの声も出ている。
(日本経済新聞 2009年7月14日 14面)

【CFOならこう読む】

「リースで航空機を調達している航空業界では対応が分かれた。全日本空輸は2008年3月期から新基準を早期適用。過去分を含めて資産負債に計上した。一方、日本航空は過去分を従来通り帳簿計上しない処理とした。
この結果、前期のリース債務を含めた有利子負債は、ANAがJALを上回った。しかし、JALはIR資料で未計上リース債務が3017億円あると公表しており、これを含めた実態の有利子負債は1兆1104億円に膨らむ」(前掲紙)

JALに公的資金を投入し、政府保証までつけるというのなら、保守的な会計処理を行うべきです。実態がよくわからないまま、公的資金を投入するなど到底許されるものではありません。

ZAITENで細野祐二氏が指摘しているように、繰延ヘッジ損益2,018億円の詳細について明らかにされていませんし、何故退職給付債務が8,009億円もあるのに、年金資産は4,083億円しかなく、それなのに引当は949億円しかなされていません。会計的には容認されている処理ではありますが、公的支援を投入しなければならないような会社なら徹底した開示を求めるのは当然のことだと思うのですが。

【リンク】

「連結財務諸表等」株式会社日本航空[PDF]

「第59期 有価証券報告書」全日本空輸株式会社[PDF]