子会社株式減損に伴うのれんの償却-第一三共のケース

第一三共 のれん代焼却3540億円 ランバクシー株急落で

第一三共は5日、昨年買収したインド製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズの株価下落を受けて2008年4月-12月期に3595億円の株式評価損(単独決算ベース)を計上すると正式発表した。この結果、連結ベースではのれん代の一時償却として3540億円の特別損失が発生する。
(日本経済新聞2008年1月6日 15面)

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金融商品会計に関する実務指針91項は、市場価格のある有価証券の減損処理について次のように規定しています。

「売買目的有価証券以外の有価証券(子会社株式及び関連会社株式を含む)のうち、市場価格のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理(減損処理)しなければならない。」
「時価のある有価証券の価額が「著しく下落した」ときとは、必ずしも数値化するできるものではないが、個々の銘柄の有価証券の時価が取得価額に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。」

第一三共は単体財務諸表上、ランバクシー株式を上記規定に基づき減損処理したものと思われます。

さらに、連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針32項はのれんの会計処理について次のように規定しています。

「親会社の個別財務諸表上、子会社株式の簿価に減損処理が行われたことにより、減損処理後の簿価が連結上の子会社の資本の親会社持分額と連結調整勘定未償却残高との合計額を下回った場合、その差額のうち、連結調整勘定未償却残高に達するまでの金額について償却しなければならない」

この規定に基づき第一三共は連結財務諸表上、のれん代3540億円を一括償却することになったものと思います。

CFOとしては、子会社株式及び関連会社株式の減損処理を行う場合、連結財務諸表上のれんの償却も行わざるを得ない場合があることに留意が必要です。

【リンク】

2009年 1月 5日「ランバクシー・ラボラトリーズ・リミテッドに係る関係会社株式評価損の計上、及びのれんの一時償却に関するお知らせ」第一三共株式会社