オリックス公募CB 利率1%

オリックスCB利率1%

オリックスは2日、17日に発行するCBの利率が年間1%に決まったと発表した。国内で発行される公募CBは今年初めて。同社は「CBの利率はゼロが多いなか1%に設定するなど、個人投資家の買いやすさに配慮した」と話している。
(日本経済新聞2008年12月3日17面)

【CFOならこう読む】

昨日に引き続き今日もCBのお話しです。

新聞記事の中に次の記述があります。

「同社の企業の信用リスクをやり取りするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、5年物)の水準は10%超で、利率が低いとの見方もある。この点については「株価の変動率を考慮すると、CBの株式に転換する権利の価値は高く、利率は適正な水準」(同社)としている。」
(前掲紙)

CBというのは社債とオプションの複合金融商品です。オプションを売っている以上、オプション料の授受があるはずですが、CBではこの部分だけを取り出して売り買いすることがありません。このことがある意味CBの価格付けを不透明にしています。

例えば額面100円(=払込金額)のCBのオプション料が10円と評価されるなら、社債は90円で割引発行され、これとは別にオプション料10円の受取りがあると考えられるのですが、これが明示的に区分されません。明示的に区分するなら、社債は90円で割引発行され、90円と100円との差額は社債利息だということになります。

CBの金利が適正であるかどうかは、この部分を考慮しないと判断できません。

「利率が低い」との見方に対し、会社は、”オプションのボラティリティが高く、オプションの価値が高くなっている。だから社債は相当に額面を割った価額での発行となっていて、実質的な利回りは適正である”と反論しているということを、前掲の新聞記事は報じているのです。

12月2日現在のオリックス株式の90日間ボラティリティは、108.221%と高い水準にあります。
(ブルームバーグ銘柄概要 
http://www.bloomberg.com/apps/quote?T=jpquote.wm&ticker=8591:JP

【リンク】

平成20年12月2日「第3 回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ」オリックス株式会社