低格付け債のスプレッド、過去最高水準

社債市場で格付けによって投資家の買い意欲が異なる二極化現象が続いている。シングルA格までは引き合いが強い一方、トリプルB格への警戒感はなお強い。日銀の白川方明総裁は11日の記者会見で「信用度の低い債券については損失を意識せざるを得ない環境にある」と述べた。低格付け債市場の改善にはまだ時間がかかりそうだ。
(日本経済新聞 2009年8月12日 17面)

【CFOならこう読む】

「シングルAプラス(R&I)の平均スプレッドは11日時点で1.17%程度と昨年11月以来の水準に低下。」(前掲紙)

シングルA格のスプレッドは、一時期2%近くまで上昇していたことを思うと、漸く社債市場もパニック状態から脱しつつあると感じます。

シングルA格債については起債も回復しており、7月は起債額全体の5割を超えました。

「ただ、投資適格の下限というトリプルB格では状況が様変わりする。11日のトリプルB社債の平均スプレッドは6%台後半と過去最高水準にある。信用リスクの高い一部銘柄が押し上げ、売買の流動性に欠ける側面はあるが、特殊要因を除いても拡大しているとの見方が大半。」(前掲紙)

「ただ前月はトリプルB格の発行も3件あった。数は多くないが、発行が一切なかった時期から少し改善した」(日銀の白川総裁 11日の記者会見要旨)

シングルAのスプレッド低下により、投資妙味が薄れ、投資家の目は徐々にこれ以下の格付けの債券に向かうのだとは思います。

「三菱UFJ証券の三島拓哉チーフ・クレジットアナリストはトリプルB格企業の起債本格化について「9月中間期決算の内容が焦点」と話す。企業金融が危機前に回復するかどうか、見極めが必要といえる。」(前掲紙)

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