ラディアHDの再生スキーム

ラディアホールディングスは1日、普通株式の100%減資を実施すると発表した。株式をすべて取得するため東京証券取引所の上場廃止基準に抵触し、10月に廃止となる見通し。減資後、米ファンドのサーベラスと米モルガンスタンレー連合によるデット・エクィティ・スワップで5000万円に増資する。
(日本経済新聞2009年9月2日16面)

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100%減資と増資の手続きは次の通り行われます。

① 定款を変更して、発行する普通株式に全部取得条項(会社法第108条第1項7号に掲げられた事項についての定款の定めをいいます。以下同じとします。)を付加する旨の定款変更を行う(以下この手続を「手続その1」といいます)。なお、全部取得条項が付加された後の当社普通株式を以下「全部取得条項付種類株式」といいます。

② 会社法第171条ならびに①による変更後の定款に基づき、株主総会の決議によって、会社が株主から全部取得条項付種類株式の全てを無償で取得し、消却する(以下この手続を「手続その2」といいます)。

③ 全部取得条項付種類株式の無償取得と同時に、第三者割当によりB種種類株式を発行し、資本増強を図る(以下この手続を「手続その3」といいます)。

事業再生ADR手続において会社の取引先金融機関等と金融支援等についての合意を得るべく協議中ですが、金融機関等(当社の子会社を除く)に対して総額215億円程度の債権放棄や債務の株式化等による金融支援を依頼しています。

かかる合意を得る為には全部取得条項付種類株式を用いて発行済株式の全部を会社が無償で取得し、これを消却すること(「手続その2」)が必要となります。

手続きその3の増資は、自己資本の増強による財務基盤の強化を目的としたもので、バランスシートの改善を目的としての、デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)の手法を採用するため、資金の調達はなく、現物出資の給付期日である2009年11月10日に、本増資における現物出資財産の債権総額である138,000,000円の有利子負債が減少することになります。

会社は債務超過状態にあり、有利発行であるとの認識はありませんが、念のため株主総会での決議事項として付議されます。

これと同時に2009年6月30日現在の資本金354億円及び資本準備金154億円を全額その他資本剰余金に振り替えた上、2009年6月30日現在のその他資本剰余金96億円の合計額のうち、580億円の繰越損失のてん補に充当されます。

なお、本件の効力発生日と同じ2009年11月10日付で25億円の自己株式が消却されることにより、その他資本剰余金の額は0円に、同日付でB種種類株式が発行されることにより、資本金は25百万円に、資本準備金は25百万円になる予定です。

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資本金および資本準備金の額の減少ならびに剰余金の処分に関するお知らせ」2ページ

【リンク】

2009年9月1日「資本金および資本準備金の額の減少ならびに剰余金の処分に関するお知らせ」ラディアホールディングス株式会社[PDF]
2009年9月1日「定款の一部変更および全部取得条項付種類株式の取得に関するお知らせ」ラディアホールディングス株式会社[PDF]
2009年9月1日「第三者割当により発行されるB種種類株式の募集に関するお知らせ」ラディアホールディングス株式会社「PDF」