【資本政策詳解】エフオーアイ

エフオーアイの株式上場の概要は次の通りです。

20091113_00

エフオーアイは、1994年設立、半導体製造装置の要素技術の研究開発・製品開発・製造・販売をを行っている企業です。公募価格は850円、予想PER13.9というまあまあの水準での株式公開となりました。

20091113_01

エフオーアイの主な資本政策は (表2)の通りです。

20091113_02

ここ3年以内に非常に多くのVC及び投資会社が資本参加してるのが特徴的です。

20091113_03

代表取締役社長の奥村氏は潜在株式も含め10.39の株式しか保有していません。従業員のインセンティブは現物株及び
ストックオプションによっています。

典型的なVC型のIPOであると言えます。

この会社の財務諸表を一目見て非常に目を惹くのが売掛金の大きさです。

決算年月 2008年3月期 2009年3月期
売上高(千円) 9,496,817 11,855,960
期末売掛金(千円) 18,211,895 22,895,952

2009年3月期の売掛金残高は2007年度と2008年度の売上の合計を超える大きさです。会社はその理由を「事業等のリスク」で次のように説明しています。

「当社グループが販売する製品は、設置される顧客の生産ラインにより「初号機」と「リピート機」に分類できます。「初号機」は新設量産ライン向けの製品販売であり、当初、良品歩留率が数%からスタートし、目標歩留率を確保するまでのプロセス・インテグレーション期間が長期化することが一般的であります。また、「初号機」を販売する際の売掛金回収は、技術検収完了後の回収が標準であるため、設置完了基準による売上計上から売掛金回収まで概ね1年6ヶ月から2年6ヶ月の期間を要する傾向があります。これに対して、「リピート機」を販売する際の売掛金回収は、一般的に、出荷後60日程度で70~80%の売掛金回収が可能となり、売上計上から売掛金全額の回収が6ヶ月程度で完了する傾向があります。
当社グループは、独自の技術による製品を開発し、自社製品の販売を開始してからの期間も比較的短く、売上高の大半が「初号機」であるため、売掛金回収期間は次の表のとおり長期となっており、売掛金額が売上高に比べて多額であります。」

2008年度のPLに特損として貸倒引当金繰入が579百万円が計上されていることを見ても、この会社のPLを額面通り受け取るのは危険であるように思います。

いずれにしても今の収益構造の下では、成長すればするほど資金繰りがタイトになっていくでしょう。

【リンク】

株式会社エフオーアイ