伊藤園、優先株式自己株買い
伊藤園が2日発表した2009年5月期~10月期の連結決算は、純利益が前年同期比47%増の47億円だった。消費者の節約志向の高まりで日本茶飲料が値引きを強いられ減収となったが、経費削減で補った。原材料価格の下落と広告宣伝費などの圧倒が寄与した。同日、優先株式の自社株買いも発表した。
(日本経済新聞2009年12月03日16面)
【CFOならこう読む】
「東証に上場している優先株について、発行済株式数の1.56%、金額で5億円を上限に自社株買いを実施すると発表した」(前掲紙)
この優先株式の概要は次の通りです。
①配当は普通株と比べ3割増しを上限とする
②優先株主は株主総会のすべての事項で議決権を行使できない。ただし2年間にわたって優先配当を受けない場合はこの限りではない。
③合併や完全子会社化で消滅会社となった場合や、公開買付の実施で買収者の株式保有比率が50%超となった場合は優先株に普通株を割当
優先株式は普通株式と比べ配当が大きいにも関わらず、株価は普通株式を下回っています。
12月2日の終値ベースで見ると、普通株式1393円、優先株式874円と4割近く下回っています。
「普通株との価格の乖離が大きく、認知度を高めたい(渡辺実副社長)」(前掲紙)
とのことですが、伊藤園の種類株式の価格が普通株の価格を下回っている理由として、市場関係者は流動性の低さを指摘されている中(日本経済新聞2007年12月1日15面)、この自己株買いはマイナスの効果を及ぼす可能性もあると思います。