8月の円高

「8月の円高に焦点が当たっている。過去を振り返っても8月は円高になるケースが多数。米国債の償還月にあたるなど資金の流れが一因とされる一方で、国際的な出来事が市場の波乱要因となるケースもしばしばある。1ドル=85円台に上昇した円相場は、昨年11月につけた1995年以来の高値(84円82銭)に迫り15年ぶりの水準も視野に入る。今夏もやはり「円高」なのかー。
(日本経済新聞2010年8月10日3面)

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「円高の背景には、米欧がドルやユーロの下落を容認する姿勢を示しているのに対し、日本は政策の運営の軸が明確でないこともある。政府・日銀が一枚岩で円高にブレーキをかけるのか。円高に耐える経済構造をつくるための成長戦略を急ぐのか。「当局からは政策的なメッセージが聞こえてこない」との指摘もある」(前掲紙)

またぞろ金融緩和で場当たり的にその場をしのぐことを求める声が強まっていますが、これにより日本の構造改革の取り組みが鈍ることを、今日の経済教室で池尾和人教授が指摘しています。

「海外移転という形で一部の産業分野が国内から撤退していくときに、どのような産業を中心に国内で雇用と所得を確保していくのかという課題に再び直面している。
けれども実は、この課題は10年前からの宿題にほかならない。何とか宿題を片づけない限り、日本経済の本格的な回復は期待できない。宿題に手を着けようとせず、財政出動と金融緩和によってその場をしのごうとするような姿勢からは、今度こそ脱却しなければならない」(日本経済新聞2010年8月10日27面ー経済教室 池尾和人慶応義塾大学教授)

まさに正論です。そして円高である今こそ、日本企業に不足している希少な経営資源を海外から手当てするチャンスであると思うのです。

安直な対処療法を政府に求めるべきではないと私は思います。

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