欧州型福祉社会か米国型競争社会か

日本の家計資産は潤沢で、国債の大量発行にも当面の不安はない。消費税の増税時期は、国際消化が難しくなる可能性がある5〜10年先でいい。ただ、歳入不足だから増税というのでは、国民は納得しない。欧州型の福祉社会か、米国型競争社会か。民主党政権は旗印を明示すべきだ。
(日経ヴェリタス2010年8月8日47面ー異見達見 榊原英資)

【CFOならこう読む】

「問題になってくるのは政府の規模である。現在、民主党政権は欧州型の福祉の拡大を志向しているように見える。子ども手当などはその第一歩と考えられる。しかし欧州は「大きな政府」である。税と社会保険料をあわせた国民負担率は、日本は39%で、35%の米国とともに「小さな政府」のグループに入る。これに対し、フランスは61%、ドイツは52%、英国でも48%に達する。

民主党政権は欧州型の「大きな政府」を志向しているのかどうか、いまのところはっきりしない。子ども手当や高校授業料の無償化はそうだが、事業仕分けなどでjは「小さな政府」を維持しようとしているように思える。そろそろ、この国のかたちをどうするか、菅政権がはっきり語るべき時が来ているのではないだろうか。確かに無駄を除くことはいつでも必要だ。しかし「大きな政府」、つまり欧州型の福祉社会を目指すのか、「小さな政府」つまり米国型の競争社会を目指すのかをはっきりすべきだろう」(前掲稿)

「福祉」の対立概念として「市場」ではなく「競争」を持ってきている点は榊原氏の見識であると言えると思います。民主党政権が「大きな政府」を志向しているのかどうかがよくわからないのと同様、自民党がどうなのかもさっぱりわかりません。

今後起きるであろう政界再編の結果「大きな政府」を志向するグループと「小さな政府」を志向するグループに明確に分かれることを期待します。

ただしいずれにしても資本主義において「市場」が重要なことは間違いなく、CFOの役割が重くなることはあっても軽くなることはありません。

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