社債管理者

スルガコーポ債、7年ぶり債務不履行 問われる投資家保護 有事に「まとめ役」不在

スルガコーポレーションが6月24日に民事再生法を申請したのに伴い、同社の発行した公募普通社債210億円が債務不履行(デフォルト=元本もしくは金利の支払いが滞ること)になった。公募普通社債のデフォルトは 2001年のマイカル債以来約7年ぶり。スルガコーポ債は、社債保有者の権利保護のために働く「まとめ役」が不在で、投資家保護の在り方に一石を投じた。
(日本経済新聞 2008年7月5日 14面)

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記事のまとめ役とは「社債管理者」のことを言っています。そこで今朝は「社債管理者」について簡単にまとめてみたいと思います。

社債管理者は、社債の発行会社の委託を受けて、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うものです(会社法702条)。各社債の金額が1億円以上の場合その他社債管理者を置かなくても社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、発行会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を委託しなければなりません(会社法702条・976条33号)。

法務省令では、ある種類の社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除して得た数が50未満の場合(社債権者の数が50人以上となる可能性がない場合)には社債管理者を設ける必要がないとしています(会社則169条)。

社債管理者には債権管理の能力が要求されるので、その資格は、銀行、信託会社または担信三条の免許を受けた者等に限られます。

社債管理者は、

①償還・利息の支払等の弁済を受け、または、債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を有し(会社法705条1項・708条・709条1項)
②債権者の異議手続において、社債権者のために異議を述べることができ(会社法740条2項)
③社債権者集会の決議により、当該社債の全部につき支払を猶予し、その債務不履行によって生じた責任を免除し、もしくは和解をする、または、当該社債の全部についてする訴訟行為、もしくは破産・再生・更生手続もしくは特別清算に関する行為をする権限を有する

といった役割を担います。
以上は「株式会社法第2版」(江頭憲治郎著 有斐閣)を参考にしています。

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