欧州、0.25%利上げ

欧州中銀、0.25%利上げ インフレ抑制図る

【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は3日の定例理事会で政策金利を引き上げることを決めた。ユーロ圏15カ国に適用する最重要の市場調節金利を0.25%上げ、年4.25%とする。昨年6月以来、1年1カ月ぶりとなる利上げで、インフレ抑制を図る姿勢を示す。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2R0100V%2003072008&g=MH&d=20080703

【CFOならこう読む】

昨年10月17日(https://cfonews.exblog.jp/6638557/)に当ブログで、ドル基軸通貨体制崩壊のリスクについて指摘しました。その上で岩井克人氏の、「資本主義から市民主義へ」から次の一節を紹介しました。

「基軸通貨国であるアメリカには基軸通貨国としての世界経済全体の立場に立った規律が求められているということです。たとえば、アメリカが不況であっても、世界中がインフレになれば、アメリカはドルの供給を減らしてデフレ政策をとらなければならないということです。
その意味で、アメリカは、基軸通貨国としての地位を保っているかぎり、世界経済の中央銀行的な役割を果たすように義務づけられている。だが問題は、アメリカという国は、かつてのモンロー・ドクトリンにもあるように、伝統的に内向きの国なのです。そして、その傾向は、冷戦が崩壊してから、ますます強まってきている。
基軸通貨国であることが要請する世界に向けた規律を、往々にして忘れてしまっているように思えるのです。ここに、現在の世界資本主義がかかえているもっとも根源的な危機の種がある。」

今日の日経新聞3面は、「米利上げに動けず」という見出しで次のような記事を載せています。

「米FRBが金融引き締めに動くのは当面難しそうだ。3日発表の6月の雇用統計で失業率の高止まりと雇用者の減少傾向が鮮明となり、景気の足腰の弱さが改めて浮かび上がった。経済活動を冷やしかねない利上げのハードルは一段と高くなった。インフレへの対応を優先する欧州との調整も難しく、FRBの政策のさじ加減はさらに難度が高まる。」

まさに岩井克人氏の危惧が現実味を帯びてきているように思えます。
CFOとしてなすべきことは、(予定取引も含め)ドル建債権のエクスポージャーを極力減らすこと、です。

【リンク】

資本主義から市民主義へ
岩井 克人

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