ユニゾン、アデランスにTOB

ユニゾン、アデランスにTOB提案 スティールに対抗

かつら最大手のアデランスホールディングスに対し、国内投資ファンドのユニゾン・キャピタルがTOB(株式公開買い付け)を提案する見通しとなった。会社側の同意を得て重要議案に拒否権を持つ33.4%以上の株式取得を目指す。アデランスはユニゾンから役員を受け入れて経営再建を急ぐとともに、役員退陣などを求める筆頭株主の米スティール・パートナーズ(約27%の株式を保有)に対抗する。
NIKKEI NET 2009年4月16日

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スティールがアデランスの大株主として登場したのが、2004年10月、会社はのらりくらりとスティールの買収提案をかわしてきました。しかし、昨年5月の定時株主総会で、会社側提案の取締役選任案が否決され、さらに2009年2月期21億円の赤字に転落する見込みであることから、会社は安定株主のもと経営再建案を提示しなければ、スティールの株主提案の通り役員総入替となるという危機感があり、そこで白羽の矢が当たったのがユニゾンであるということです。

スティールの反発は必死で、株主総会で賛成票を奪い合う委任状争奪戦(プロクシーファイト)に突入する可能性が高い
(前掲紙)

プロクシーファイトの結果は、不透明ですが、仮に会社側が勝てば6月にも33.4%以上の株式取得を目指しTOBが実施されそうです。

ところで、プロクシーファイトで会社の経営再建案が指示されたとしても、TOBが成功する保証は全くありません。

以前お話ししたように、TOBという制度は、必ずしも株主の望む通りの結果にならない可能性があることが、「TOBによる敵対的買収の不可能性」として1980年にサンフォード・グロスマンとオリバー・ハートにより指摘されています。この理論によると、株主が次のように考えます。

「会社&ユニゾンの経営再建案は素晴らしい。再建案を実行することで株価はTOB価格より上がるはず。ならばそのまま持っていよう。」多くの個人株主がこのように考えるなら、当然TOBは不成立に終わります。

また、再建案に反対の株主もTOBには応じません。従って、こう考えるといずれにしてもTOBは成立しないことになるのです。いずれにしてもcasting voteを握るのは約51%の議決権を持つ外国人株主です。

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