震災支援税制第1弾、政府税調が決定

政府税制調査会は13日開いた会合で、東日本大震災の税制支援策の「第1弾」をとりまとめた。被災者や被災企業の税負担の減免や過去に収めた税金の還付などが柱。会合後の記者会見で、五十嵐文彦財務副大臣は「第2弾」の支援策も「できれば今国会中にとりまとめたい」と指摘。被災者が住宅を再取得する際の減税や、被災企業の事業承継にかかわる税制の特例などを盛り込む見通しを示した。
(日本経済新聞2011年4月14日5面)

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「この日政府税調がまとめた第1弾は緊急支援策の位置づけ。企業向けでは過去に納めた法人税額から、大震災による損失額に相当する額を2年前までさかのぼって
還付する。阪神大震災の際は支援税制に盛り込まなかった地方法人税(法人事業税と法人住民税)にも減免措置を設ける」(前掲紙)

以下に、昨日公表された「東日本大震災への税制上の対応(第一弾)」(案)から法人税部分のみ抜粋します。

1.震災損失の繰戻しによる法人税額の還付
平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に終了する事業年度において、法人の欠損金額のうちに震災損失金額がある場合には、その震災損失金額の全額について2年間まで
放るが遡って繰戻し還付を可能とする。
また、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に中間期間が終了する場合、仮決算の中間申告により同様の繰戻し還付を可能とする。
2.利子・配当等に係る源泉所得税額の還付
平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に中間期間が終了する場合、仮決算の中間申告により、震災損失金額の範囲内で、法人税額から控除しきれない利子・配当等に係る源泉所得税額の還付を可能とする。
3.被災代替資産等の特別償却
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、(1)被災した資産(建物、構築物、機械装置、船舶、航空機、車両)の代替として取得する資産、(2)被災区域内において取得する資産(建物、構築物、機械装置)について、特別償却を可能とする。
(注1)被災区域:大震災により滅失した建物等の敷地の用に供されていた土地等の区域
(注2)償却率は、平成26年3月31日以前に取得した場合、建物・構築物について15%(中小企業者は
18%)、機械装置・船舶・航空機・車両について30%(中小企業等は36%)とし、平成26年4月1日
以降に取得した場合はこれらの2/3の率とする。
4.特定の資産の買換えの場合の課税の特例
(1)平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に被災区域内の土地等を譲渡し、国内にある土地、建物その他の減価償却資産を取得する場合、(2)平成23年3月11日建物その他の減価償却資産を取得する場合に、圧縮記帳による課税の繰延べ(課税繰延割合100%)を可能とする。
5.買換え特例に係る買換資産の取得期間等の延長
租税特別措置法に規定する特定の資産の買換えの特例等について、大震災のため、買換資産等を予定期間内に取得することが困難であるときは、一定の要件の下に、当該予定期間をさらに2年の範囲内で延長できることとする。」

「東日本大震災への税制法上の対応(第一弾)(案)」 [PDF]

【リンク】

「東日本大震災への税制法上の対応(第一弾)(案)」 [PDF]