反市場勢力

「冤罪なのに晴らしようがない」。ある投資会社の社長がこぼす。出資先企業が取引所の上場審査部門から、上場を目指す企業として、ふさわしくない株主がいると示唆され、上場のメドが立たないからだ。誰が問題株主なのかは知らされず、「魔女狩りだ」と憤慨する。
(日本経済新聞2009年5月19日 15面 一日均衡)

【CFOならこう読む】

実際この手の話はあちこちで聞きます。こういう株主を反市場勢力というそうです(反社会的勢力ではありません)。

上場審査部門からある日突然、「反市場勢力が株主がいるので、一部の株主を入れ替えなければ上場できない」と宣言されるというのです。

しかし具体的にどの株主が反市場勢力なのか知らされないため、会社は自分で当たりをつけ、その株主を異動させた上で、再度上場審査部門にお伺いを立てるのです。しかし審査部門は変わらず「問題株主が存在する」と言うのみなので、永遠に上場出来ないことになるのです。

新興市場に問題があり、上場審査を厳格化する方向性は正しいと思います。

しかし審査はフェアかつ透明でなければなりません。反市場勢力というものが本当に存在するなら、理由とともにその名前を具体的に挙げるべきです。

そうではなく、実質的に上場させられない理由が他にあるなら、それをきちんと伝えるべきです。

上場予備軍の気概を、訳のわからない理由で挫くことがないよう、市場にあっては切にお願いする
次第です。

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