伊藤園の優先株、普通株との差縮小

国内で唯一上場する伊藤園の優先株が、普通株との価格差を縮小している。2009年には普通株より4割安かったが、足元では約2割と3年3ヶ月ぶりの水準まで差を縮めた。
(日本経済新聞2012年1月21日13面)

【CFOならこう読む】

「同社の優先株は議決権がない代わりに配当は普通株の25%増し。今期は普通株の年38円に対し48円で、配当利回りは普通株より1.6%高い」(前掲紙)

伊藤園の優先株の価格が普通株の価格を大きく下回る理由として、以前次のように説明されているのを紹介したことがあります(2008年7月19日「無議決権株の価格」)。

①無議決権優先株が東証株価指数に採用されていないため流動性が低い
②普通株にあって優先株にない議決権の価値が大きいから、価格差が拡大している

さらにイタリアや韓国の会社が伊藤園と同様に優先株の価格が普通株の価格を大きく下回る理由として次のような分析がされていることを紹介しました。

「国の法制度や市場のルールが未整備で、企業経営に対する規律付けが弱いと、株主は自ら議決権を握り、株主の利害に背かないよう経営を監視する必要性が増す。その場合、議決権の価値は増大し、結果として無議決権株と普通株の価格差が広がる。」
((日本経済新聞 2008年7月19日 14面 無議決権株を追う㊦))

だとすると、伊藤園の優先株の価格の上昇は、オリンパスや大王製紙の事件を受けて日本企業のガバナンスが今後改善するという期待を反映したものなのかもしれません。

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