広域CBO、元本割れが確定

当初トリプルA格の公募の証券化商品が、元利金の返還されない債務不履行に陥るのは国内では初めて。
商品は「広域CBO」と呼ばれ、都など7自治体が企画し中小1269社の社債をまとめた。みずほグループが「シービーオー・オール・ジャパン」の名で。2006年に総額881億円分の4つの証券を発行。返済順位が2番目の「B号」には、米格付け大手スタンダード・プアーズが当初、最上級のトリプルAをつけていた。

(日本経済新聞2009年7月3日4面)

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CBO(Collateralized Bond Obligation)とは、私募債(普通社債)を束ね、これをリパッケージすることで投資しやすくした商品です。これとよく似た商品としてCLO(Collateralized Loan Obligation)というのもありますが、こちらは貸付債権を証券化した商品です。

CBOもCLOも、発行者や債務者の個別の信用リスクを分散することによって、より多くの投資家から資金を調達しようとするものです。

広域CBOのストラクチャーは次の通りです。

Standard & Poor’s ストラクチャード・ファイナンス SALES REPORT より

「このうち返済順位の最も高い「A号」は全額償還されたが、これを除いた841億円分がデフォルトとなった。B号(発行額831億円)は最終的に元本の約85%しか償還されないことが確定。発行額の小さいC号(同7億円)とD号(同3億円)の償還はゼロだ。」
(前掲紙)

なぜこんなことになったのでしょうか。

「直近の半期報告書に記載された年間の営業利益などが支払利息の何倍かという指標を見ると、 参加企業の45%近くが2倍未満という低さ。「公募の証券化商品として異常な構成」 (クレディ・スイス証券の宮坂知宏証券化商品ストラテジスト)だ。元本が棄損する場合に バッファーの役割を担う劣後部分も全体の発行額の4%強と薄めだ。今回のCBOを組成し、参加企業を審査したみずほ銀行は 「私募債については通常の貸し出しと同様の厳格な与信判断をしている」と説明する。」
(日経ビジネス2008年8月4日・11日号)

中小企業は日本経済にとって要であり、その割に弱い立場に置かれていることから、資金調達の部分で公的機関の関与は必要であると思います。

しかし、それは国民の理解のもと税金で行うべきもので、一般投資家に損失を飛ばすようなやり方は許されないと僕は思います。

【リンク】

「シービーオー・オール・ジャパン特定目的会社 第1回A-D号特定社債」ストラクチャード・ファイナンス[PDF]