大きな政府か、小さな政府か

米政府がゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーへの公的資金投入と経営関与に踏み切った。政府主導で両社の再生はなるのか。市場原理の重要性を説くシカゴ学派の重鎮で、ノーベル経済学賞の受賞者のシカゴ大学のゲーリー・ベッカー教授に聞いた。
(日本経済新聞2009年7月4日7面)

【CFOならこう読む】

−米政府は連邦破産法の適用を申請した自動車大手2社の大株主になりました。
ベッカー氏:
好ましいことではない。政府は早期に持ち株を手放すべきだ。両社は半年前に破産法の適用を申請して、過大に膨らんだ労務費や負債の削減を急ぐべきだった。米政府は混乱を防ぐ名目で両社への関与を強めてきたが、かえって問題解決が遅くなった。

−米政府は政府から支援を受けた企業の取締役や経営幹部の報酬を制限しようとしています。
ベッカー氏:
不合理な考えで、やるべきことは逆だ。今のGMなどが必要としているのは有能な経営者。報酬を制限したら招こうにも来てくれないし、優秀な人材の流出を加速させる。

−金融機関に続く自動車大手への公的資金投入で、米国は大きな政府を志向していくのでしょうか。
ベッカー氏:
自由競争を経済の活力源とする英米型と、政府が個別企業や労働者への関与を強めるフランス型と、どちらが優れているだろうか。1990年と2007年の経済成長率や失業率を比べれば答えは明白だ。競争がいきすぎる欠陥を抱えているとしても、英米型の方が成長率、失業抑制の両方でフランス型を上回る実績をあげている。」(前掲紙)

ベッカー氏の言っていることはまさに正論だと思います。

大きい政府か、小さな政府かについては次の選挙で争点とすべき最重要論点だと思いますが、民主党は自民党以上に大きな政府を志向しているようで、小さな政府を良しとする僕のような人間にとっては支持すべき政党がないことが最大の問題であると思います。

【リンク】

なし