温かい資本主義とぬるま湯資本主義の境目

米国人初のノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン教授は、先月の筆者との対談で、「94歳まで長生きをして2つ良いことを見た。ひとつはオバマ政権の誕生とケインズ主義の復活、もうひとつはオバマ政権の誕生とケインズ主義の復活、もうひとつは日本の政権交代だ」と語った。また「フリードマンが数年前に亡くなり、ケインズ主義の復活を見せられなかったのは残念だ」と続けた。
(日本経済新聞2009年10月27日29面 経済教室 佐藤隆三)

【CFOならこう読む】

「温かい心を持つ資本主義とは、社会主義とは根本的に異なる。限られた資源を効率配分し、公正に分配するベースはあくまで市場での競争にある。ただそこで敗れた人をどのように救済するかが重視される」(前掲)

全くその通りだと思います。そして米国が冷酷な資本主義に行き過ぎていたのも事実だと思います。しかし日本は米国とは事情が全く異なります。日本経済の最大の問題点は、政官財癒着とそこから生じる利権の構造が、「限られた資源を効率配分し、公正に分配するベ市場での競争」が阻害されている点にあります。

経済学者やエコノミストは、時の権力者にいいように利用されないように、細心の注意を払うべきだと思います。政治に関わるのなら、竹中さんのように政権の中に入り、四方八方から滅多打ちにあう覚悟でやるべきです。

亀井静香氏が、不良債権問題の頃に、リチャード・クーさんのことを「クーちゃん」と呼ぶのをTVで見て、背筋が寒くなったのを覚えています。

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