アデランス、新経営体制が発足

アデランス、新経営体制が発足 強まる「スティール色」

かつら最大手のアデランスホールディングス(HD)は9日に都内で臨時株主総会を開き、筆頭株主の米投資ファンド、スティール・パートナーズが推薦する 2人の社外取締役を含む新たな経営陣が選任された。定時株主総会で再任を否決された取締役らが暫定的に経営にあたる状態は解消した。今後は企業価値を向上させる改革に取り組むことになるが、課題は山積している。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080811AT1D0901D09082008.html

【CFOならこう読む】

スティールが今後アデランスにどのような改革(リストラ?)を要求して行くのかが注目されます。これを考える上で、2月8日にスティールがアデランス宛に出した”業績評価と提言”が参考になります。

”業績評価と提言”は、アデランスの現状について次のような問題点の指摘を行っています。

-毛髪関連のコアとなる市場における戦略の失敗
-非効果的なマーケティング戦略(広告宣伝へのアプローチを含む)
-コスト管理の失敗-説明責任・透明性の欠如
-現経営陣の経営能力の欠如及び同社における経営資源の欠如

そして次の提言を行っています。

1.SPJSFの代表を取締役に指名。
2.財務アドバイザーとして投資銀行を起用。
3.アデランスの経営を委託できる他社との統合の可能性も含めて、戦略的な代替案を考慮。

このうち1と2については、既に実行されています。
3については、今後、「特別委員会」(企業価値向上策を提言する。メンバー3人のうち2人がスティールが推した社外取締役)の圧力のもと、何らかの施策が講じられるものと思われます。

その内容は明らかにされていませんが、他社との統合の可能性も含めた”戦略的な代替案”と言う以上、非公開化しコアではない資産売却を行うといった抜本的なリストラを敢行した後、競合他社との統合又は再上場を行うといった線で進んで行く可能性が高いものと思われます。


注:この記事は筆者の個人的な意見であり、筆者が所属する法人の見解ではありません。また、記事は、CFOが自己の業務の参考となるケースを提供するために書かれており、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。従って情報の正確性・完全性に起因して発生した損害について、筆者及び筆者が所属する団体はその責を負うものではないことにご注意ください。

【リンク】

2008年8月9日「臨時株主総会の決議結果に関するお知らせ」株式会社アデランスホールディングス [PDF]

2008年6月30日「スティール・パートナーズ・ジャパン、アデランスの取締役候補者 と同社の日興シティ・グループ起用に関する声明を発表」スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、エル・ピー [PDF]

「スティール・パートナーズ・ジャパン、アデランスに戦略的な代替案を要求」スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、エル・ピー [PDF]