海外の子会社、国内より多く

経済産業省が26日公表した2011年の企業活動基本調査速報によると、海外子会社を持つ製造業の企業数の比率が24.9%と調査を開始した1992年以来最高になった。自己資本比率も46.5%と最高を記録。海外展開を積極化する一方、財務の守りを固める姿も浮き彫りになった。
(日本経済新聞夕刊2012年1月23日1面)

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平成23年3月31日現在で実施した企業活動基本調査の企業数(総合計)は2万9506社、うち、企業活動基本調査の対象業種に格付けされた企業数(合計)は2万8273社。

対象業種は(「経済産業省企業活動基本調査 調査の対象」[PDF])に記載があります。

調査は、売上高と利益の状況、費用の状況、付加価値額の状況、資産の状況、従業者の状況、子会社・関連会社の状況等について行われました。
このうち、子会社・関連会社の状況の調査結果の概要を以下に抜粋します(「経済産業省企業活動基本調査 最新の調査結果の概要」[PDF])。

・子会社(注)を保有する企業は 12,332 社。子会社保有企業比率は 43.6%(前年度差 0.4%ポイ ント上昇)。
・国内に保有する企業数は 10,655 社で国内子会社数は 51,254 社。1企業当たり保有数は 4.8 社(前年度差▲0.3 社減)。海外に保有する企業数は 4,969 社で海外子会社数は 34,023 社。 1企業当たり保有数は 6.8 社(同 0.0 社)。
・製造企業の子会社保有比率をみると、国内 37.1%、海外 24.9%となり、海外は調査開始以来 最高値を更新。
・製造企業の 1 企業当たり保有数は、国内 5.3 社(前年度差▲0.2 社減)、海外 7.2 社(同 0.0 社)と横ばい。
・製造企業の海外子会社を地域別構成比で比較すると、アジア(除く中国)が 29.7%(前年度差 0.0%ポイント)、中国が 26.6%(同 0.1%ポイント拡大)、ヨーロッパが 19.2%(同▲0.2%ポイント 縮小)、北米が 17.6%(同▲0.3%ポイント縮小)。
・製造企業のモノの輸出額に占める関係会社の取引率は、49.1%(前年度差▲0.3%ポイント低 下)。地域別でみると、中国、ヨーロッパ、北米が低下し、アジア(除く中国)、中東、その他の地 域が上昇。モノ以外の輸出額に占める関係会社の取引率は、73.4%(同▲4.7%ポイント低 下)。
・製造企業のモノの輸入額に占める関係会社の取引率は、32.4%(前年度差 0.7%ポイント上 昇)。地域別でみると、アジア(除く中国)のみが上昇し、他地域は低下。モノ以外の輸入額に 占める関係会社の取引率は、56.6%(同 16.8%ポイント上昇)。
(注)ここでいう子会社は、関連会社も含む。

上には記載されていませんが、従業者数を見ると小売業は2,755,277人は、製造業の5,234,678人に次いで多くなっています。

ところが海外子会社を持つ小売業の企業数の比率は4.3%しかありません。この数値は卸売業の17.9%と比較しても大きく下回ります。これからますます内需が細って行くなかで、小売業やサービス業も海外に出ていかざるを得ないように思います。

【リンク】

経済産業省企業活動基本調査

「経済産業省企業活動基本調査 調査の対象」[PDF]

「経済産業省企業活動基本調査 最新の調査結果の概要」[PDF]