DIP型会社更生手続き

企業の経営破綻が増えるなか、新しい法的再建手法が出てきた。「DIP型会社更生手続き」と呼ぶ手法だ。裁判所が、再建を主導する更正管財人に弁護士ではなく経営者自身を選任するのが特徴だ。現経営者が続投するため手続きが効率的に進み、手遅れにならず再建できるとの期待がある。ただ、管財人の経営者と債権者との利益相反が起きやすく、企業再生の手段として定着するには課題もある。
(日本経済新聞2009年6月1日16面)

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今日は備忘記録です。

「債務者である経営者が再建を主導する会社更生手続きのこと。DIPは「Debtor In Possession(占有債務者)」の略。裁判所が定める一定の要件を満たせば、経営者自身が裁判所が選任された管財人として更正計画を作成できる。米連邦破産法11条(チャプターイレブン)や日本の民事再生手続きもDIP型だが、担保権の行使などで違いがある。
DIP型会社更生手続きは従来の更正手続きと同様、債権者の担保権手続きと同様、債権者の担保権行使が制限され、資産は分散しない。ただ債権者から見た手続きの公正性が問われる。
クリード、日本綜合地所、スパンション・ジャパン、あおみ建設と各社の子会社が申請、開始決定を受けた。」(前掲紙)

DIP型会社更生手続きの要件は次の通りです。

  1. 経営陣に違法な経営責任がない
  2. 主要債権者が反対していない
  3. スポンサーが了解している
  4. 手続きの遂行が損なわれない

「日本のDIP型会社更正手続きはチャプターイレブンとほぼ同じ再建手続きといえる。
最大の違いは債権者委員会の有無だ。米国では債権・担保権者が委員会を設け、弁護士や公認会計士を雇い、債務の弁済や経営者の退陣を主張する。委員会の運営費も債務者負担が多い。日本でも2003年の会社更生法改正で更正債権者委員会の設置を認めたが、債権者が集まって発言力を強める動きはなかった。」

日本経済新聞2009年6月1日 16面より

日本経済新聞2009年6月1日 16面より

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2009年4月20日「管財人辞任のご挨拶」
更生会社 日本綜合地所株式会社
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