デフレは克服できない

「もっと先へ」「より未知なるものを求めて」「より学術的に」という近代は限界に達し、先進国はポスト近代社会を構築せざるを得なくなるだろう。デフレは、所得が増えない状況に企業が技術革新で安価で品質の良い財・サービスを提供した結果であり、克服できると思うのは無謀だ。
(日経ヴェリタス2010年1月3日57面 水野和夫論稿)

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2009年11月20日、政府はデフレ宣言を行いました。新聞・TV等のメディアでも、デフレ脱却のための金融緩和の要求する有識者の見解が数多く紹介されています。

新春恒例の朝まで生テレビでも、「お金を刷る量が足りない」という意見が圧倒的でした。私はマクロ経済の専門家ではありませんが、金融緩和により物価をあげるという処方箋はどうにもピンと来ません。

安くて良いものを提供したいと考える民間企業が、技術革新の努力を行うのは当然のことですし、消費者だって、安くて良いものを買える方が良いに決まっているのです。それのどこが悪いのでしょう。

専門家の議論は、私には新興宗教の信者の話のように実感に乏しく聞こえます。ところが同じ専門家でも水野和夫さんのな言っていることはよくわかります。

「デフレの原因はグローバル化であり、需要不足が原因ではない
デフレは所得が先進国で増えなくなって、それに企業が技術革新で安価で品質の良い財・サービスを提供している結果である。企業の低価格競争がデフレの原因ではなく、近代の仕組みが機能しなくなったことに対して、企業が対応した結果なのである。企業の技術革新がなければ、先進国の消費者はもっと生活水準が下がっていることになる」(前掲稿)

日本企業は、世界の人に買ってもらえるような値段と品質で財・サービスを提供すべくさらなる企業努力を続けるしかないのです。

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